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「渋めのダージリンはいかが」へようこそ

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・・・ここがメインルームです・・・

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メインルームの話題

サイエンス・都響(クラシック音楽)・JPOP・

バルサ・猫・その他雑記

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=アネックスのご案内=

生物学茶話(Science):こちら1

フィクション(Fiction):こちら2

JPOP名曲徒然草(Music):こちら3

生物学茶話PDF版 こちら4  こちら5
(PDF版には、はしがき、ページ付きもくじ、巻末索引がついています)

すべてフリーですので、ごゆっくりどうぞ 

「生物学茶話:@渋めのダージリンはいかが」の紙本は九州大学理系図書館、京都大学理学部図書館、島根大学附属図書館、東京大学理学図書館、東京工業大学大岡山図書館、北海道大学理学部図書室、杏林大学医学部図書館、電子書籍としては国立国会図書館に収蔵されています。

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2021年12月28日 (火)

良いお年をお迎えくださいませ

今年もようやく終わります。オリンピックなんてあったのかというくらい自粛に明け暮れた年でした。きょうは7つくらい用があって、あちこちうろうろしてようやくミッションコンプリート。安ワインを飲みながらディスプレイに向かっています。

今年の1番の思い出は、なんと言っても「まきちゃんぐライブ@5月23日下北沢コムカフェ音倉」です。新型コロナのせいで私がしばらくライブに行ってなかったこともありますが、立って歌うまきちゃんの凄さに圧倒されました。はらかなこさんのサポートも素晴らしかったと思います。このあとまた蔓延したので、ちょうど谷間だったのも良かったですね。まさに一期一会の経験でした。

http://morph.way-nifty.com/grey/2021/05/post-bd9959.html

2番目は6月1日の小泉-都響のフォーレ「レクィエム」@サントリーホールです。多分新型コロナがなければこんな静謐な幸福感に包まれることはなかったと思います。これも谷間でしたね。

http://morph.way-nifty.com/grey/2021/06/post-a7e9ca.html

3番目はY夫妻とご一緒したベートーヴェンの第9交響曲です。普通だったら会員席でとてもとれないような席のチケットが、新型コロナのおかげで解放されていてとれたので、都響のすばらしさをあらためて感じました。Y夫妻にも久しぶりでお会いできてよかったです。

現在 Cre-loxP の歴史を探訪していますが、ひっかかるところがあってとても今年中にアップできそうにありません。恒例の「私の紅白歌合戦」は年内にアップするつもりで準備しています。では、皆様が良いお年をお迎えになるよう祈念しております。

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2021年12月25日 (土)

大野都響-ベートーヴェン交響曲第9番@東京芸術劇場2022/12/24

友人と共に都響が演奏するベートーヴェン第9交響曲を聴きに池袋へ。芸劇前のイルミネーションは素晴らしく、カラヤン広場とは大違いです。昨年はコロナで第9を聴けなかったので、ひとしおです。コンマスはボス矢部でサイドはゆづきです。

指揮は本来は準・メルクルさんでしたが、コロナの関係で大野音楽監督が代役です。ショスタコーヴィチの第5交響曲は、彼流のすっきりと整理された解剖術が完全にはまっていましたが、第9も2楽章までは全く違和感はありませんでした。しかし第3楽章は美しいことは美しいのですが、なぜかはまれませんでしたね。ふわふわとした優しい感じが無いんですよ。音楽がきびきびと進行しすぎるせいかな。と思っていたら急激にテンポが落ちたりして違和感がありました。

第3楽章が終わったところでいったん切って、ソリストと合唱団の入場。この方式は良いと思いました。ソリストの方々はオーケストラの後ろに立つスタイルでしたが、皆さんすごい声で圧倒されます。特にソプラノの小林さんの声は圧巻でした。こんな人が居るのなら、日本人でどんなオペラだってちゃんとできると思いました。

合唱団は二期会でしたが、力で押しまくる感じで柔らかさに欠けたように思いました。大野監督はこれでいいと思っているのでしょうかね?

オケはいつも通り頑張っていました。特に久一さんのティンパニは見ているだけでも美しい芸です。私は思ったのですが、柳原はパユや甲斐をめざすのではなく、鷹栖家の執事(爺や)~ 都響の執事 の様な感じでいると収まりが良いのではないでしょうか。鷹栖と柳原、この2人は都響のコアです。

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2021年12月23日 (木)

PCの乾燥 危機回避

突然PCがキーボードに反応しなくなりました。モニターに画面キーボードを出して入力すると正常に動作します。しかしなにしろスタートのパスワードも入力できないので非常に困りました。強制終了して再起動しても直りません。

PCにつながっているすべてのコードをはずして放電してみたら という話を聞いて半信半疑でしたがそのとおりの状態にして、30分くらい放置して再起動すると、なんと正常にキーボードが使えるようになりました。

空気が乾燥していることが、PCにとっては非常に危険であることを思い知りました。さて、これからどうしたものか? とりあえず食器に水を入れて近くに置くと、1秒もしないうちにミーナが来て飲み始めました。

 

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2021年12月21日 (火)

大野-都響 ショスタコーヴィチ交響曲第5番@サントリーホール2021/12/20

コロナの合間の平和なひとときに都響のタコ5。これはマエストロ大野の18番で、寒くても出かけるしかありません。サントリーホール前のカラヤン広場はまるでデッドスペースで、クリスマスデコレーションも皆無の寂しいたたずまいでした。

ソリストが達人阪田で、そのせいもあってかほぼ満席の盛況。広場の寂しさと対照的に、久しぶりの賑わいです。座席の制限も設けていませんでした。阪田さんーマエストロ大野ー都響は肝胆相照らすというか、息がぴったり合っていて素晴らしいラフマニノフでした。これだけお客さんが入ると、演奏者も気合いが入りますよね。

ソリスト・アンコール  ニールセン:『楽しいクリスマス』の夢

本日のコンミスは四方さん。サイドはマキロンです。マキロンはダイエットに成功したようです。ただ譜めくりを忘れてコンミスにやらせるとか、ボケぶりは相変わらずです。

お目当てのタコ5は期待通り会心の演奏で、テンション爆上げでした。フルートの柳原氏も今日はなかなか落ち着いてニュアンス豊かな演奏で楽しませてくれました。この曲でいつも思うのですが、第3楽章のシロホンは心臓止まりそうで奏者になりたくないです。ついでですが、マエストロ大野もミスった奏者を最初に立たせるという嫌みはやめてほしい。ともあれ四方さんをはじめ、みんなものすごく頑張った素晴らしい演奏会でした。どうも有難う。

ところで1月の定期演奏会はまだ詳細が決まらず、チケットも販売していません。ソリスト・指揮者が来日できないのは確定的なので、代役さがしが難航しているものと思われます。はらはらです。

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2021年12月20日 (月)

国立国会図書館の怪

↑ クリックして拡大して見てください

私は国会図書館に「生物学茶話@渋めのダージリンはいかが」という本を献本していますが、これはもともとデジタル本なので国会図書館のデジタルコレクションに収蔵されていて、インターネットで自由に閲覧できるはずなのです。

しかし自分でアクセスしてみて腰を抜かしました。なんと上図のようにアクセスできなくなっているのです。あわてて電話してみて、さらに驚くべき事態になっていることがわかりました。国会図書館のすべてのデジタルコレクションにインターネットからアクセスできなくなっていて、図書館に行かないと閲覧できないようになっているんだそうです。

ええーっ! それじゃ紙本と同じじゃない? 冗談でしょ・・・。

いや本当で、しかもこの事態を解決できるめどはたっていないそうです。少なくとも私の本に関しては著作権問題はあり得ません。執筆も編集も出版も私ひとりでやったので、私がフリーで閲覧できますと言っているのですから、著作権問題が発生するわけがないのです。

デジタル庁はなんのためにあるのでしょうか? デジタル化の根幹というより国家の根幹がこんな調子では、この国の政治家は遊んでいるようなものでしょう。牧島かれんよ なんとかしてちょうだい。

ただ絶対見れないかというと、そうでもなくて国会図書館のHP

https://www.ndl.go.jp/

にアクセスし、検索ボックスに 生物学茶話 などと打ち込むと本の名前が表示されて、右端に デジタル というボックスが現れるので、そこをクリックすると上のような画面が出ます。そこで赤矢印で示した部分をクリックすると読めます。または左上の詳細レコード表示からもアクセスに至れます。

もうひとつ問題なのは、国会図書館のHPからは検索できるのですが、デジタルコレクションに移動すると検索ボックスに入力しても、検索にかからなくなります。これはデータの受け渡しがきちんとできていないからだと思われ、デジタルコレクションの管理がそもそもできていない証拠でしょう。かけ声だけは威勢がいいが、予算も人員も根回しも足りなくて実際はグダグダという最近のこの国によくある事態なのかな(orz.....)。

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2021年12月19日 (日)

新型コロナウィルスの形態

国立感染症研究所で撮影されたSARS-CoV-2 B.1.1.529(オミクロン)系統の電子顕微鏡写真です。実に素晴らしい写真です。

これをみるとわかるように、新型コロナウィルスの外殻はブロッコリーのようにびっしりスパイクで覆われていて、抗体が接触できるのはスパイクの頭だけです。ですからこの部分にアミノ酸の変異があると、むしろ認識する方がおかしいのです。認識できたとすると、その抗体は特異性が低い不出来な抗体だということになります。

ですから何度もワクチンを打って大量に抗体を作り出す中で、その特異性の低い抗体がいくばくか効果を発揮してくれないかなと期待するのはちょっと無茶な話です。この頭の部分のアミノ酸配列にきちんと対応した新型ワクチンが一日も早く世に出て欲しいと思います。

この頭の部分の短いペプチドをワクチンとして投与するとよさそうですが、ひょっとするとそのペプチドが非常に効率よくACEII受容体に結合して、強い毒性を発揮するというリスクがあるかもしれません。むしろこの部分を認識する抗体試薬に期待すべきでしょうか? それともこのウィルスが持っている酵素の特異的阻害剤に期待すべきでしょうか? 

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2021年12月18日 (土)

第3の敗戦

Times の World University Ranking を見てみました。まだ終わってませんが2021年版もありました。
こちら

1位はオックスフォード大学、6位はケンブリッジ大学、他のベストテンはすべて米国の大学でした。ではアジアではどうでしょうか?

20位 精華大学(中国)
23位 北京大学(中国)
25位 シンガポール大学(シンガポール)
36位 東京大学(日本)
39位 香港大学(中国)
47位 南洋理工大学(シンガポール)
54位 京都大学(日本)
56位 香港中国大学(中国)
56位 香港理工大学(中国)
60位 ソウル大学(韓国)
70位 復旦大学(中国)
87位 中国科学技術大学(中国)
94位 浙江大学(中国)
96位 KAIST(韓国)
97位 台湾大学(台湾)

中国の精華大学と北京大学は東京大学よりランキングが上位です。しかも中国はベスト100に8校もはいっていますが、日本は2校だけです。シンガポールと2位を争ってやや劣勢というところでしょうか。オセアニアまで含めるとオーストラリアは日本やシンガポールより断然上位にランクされます。

さらに残念なことに、日本の大学は200位以内にも東大・京大以外はランクインしていません。この2校以外の大学は奈落の底に転落してしまいました。もう学術・高等教育の世界では日本は完全に3流国家に転落したと考えて良いでしょう。情けないとしか言いようがありません。このような事態を招いた根源は、すべての国立大学を半民営化した小泉-竹中政権の愚策と、それを引き継いだ政権の見識のなさに起因するものです。

これは太平洋戦争、1990年代からの経済敗戦、に継ぐ第3の敗戦と言えるでしょう。

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2021年12月15日 (水)

心筋・心膜炎

私はファイザーのワクチンを接種して以来チェストペインに悩まされていますが、医者にかかるほどひどくはないので辛抱しています。CDCもワクチンの副反応で、2021年に約1万7千例の心筋・心膜炎が発生したことを認めています。

心膜炎とはウィキペディアによれば図のような2重構造の心膜が炎症を起こして膨らんでいる状態のようです。心筋炎はまさしく心臓の筋肉そのものの炎症です。

データは Open VAERS のサイトに出ています。

https://openvaers.com/covid-data/myo-pericarditis

インフルエンザワクチンのデータと比較していますが、比較にならないくらい圧倒的に新型コロナワクチンによる心筋・心膜炎が多いことがわかります。

若い人は1回目より、2回目の接種後に発症する場合が多いようです。3回目にどうなるかはまだ神のみぞ知るですが。ともかく余計な患者発生やワクチン接種を避けるためにも、海外からの不急の正月帰省は延期して欲しいと思います。

昨日の報道ステーションに少し感動したのは、テレ朝が武漢に日本語をきちんと話せる中国人のエージェントを確保していて、的確なニュースを流していたことです。彼が武漢では新型コロナの蔓延はみられないが、近隣では発生しているところがあると伝えたのは重要なニュースです。大越氏が仕切るようになってから、視聴者を善導しようという姿勢が希薄になってきたのは歓迎しますし、なるべく報道に徹した姿勢を期待したい。

 

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2021年12月14日 (火)

続・生物学茶話167: C.エレガンスの神経細胞

神経堤細胞というのは、まず大工と左官によって作られた家に、後で入ってきた内装業者が人が住めるようにセットアップするという感じなのでしょう。神経板と予定皮膚外胚葉の間の領域が盛り上がるという意味での神経堤は脊椎動物独自のものですが、同じようなはたらきをする細胞は左右相称動物のはじまり(ウルバイラテリア)から存在したのでしょうか? バイラテリア一族のいわば分家である後口動物ではなく、本家の前口動物は神経堤細胞に類似した細胞を保持しているのでしょうか?

3年前に75才で亡くなったジョン・サルストンという人がいます。彼は線形動物門に属する体長約1mmの生物 Caenorhabditis elegans (通称C.エレガンス)が、ひとつの細胞から細胞数≒959個の雌雄同体または細胞数≒933個の雄ができるまでの全細胞系列をとてつもない執念で完全に明らかにして、2002年にノーベル生理学医学賞を受賞しました(1-3)。私はこれはワトソンとクリックのDNA構造解明にも匹敵する偉業だと思います。

この生物の神経細胞は302個しかなく(とは言ってもすべての体細胞の約3分の1が神経細胞!)、ひとつひとつの神経細胞がどのような役割を果たしているかについての実験研究が可能です(3)。C.エレガンスはたったこれだけの数の神経細胞で餌を探し、食べて排泄し、化学物質や温度を感知し、物理刺激を回避し、生殖し、記憶や学習を行ない、激しい運動を行なうことができます。

彼らは前口動物であり、私たち後口動物とは5億年以上前に分岐した生物です。彼らも神経堤細胞のように、適切な場所に移動しながら神経細胞としての増殖や分化を行なうタイプの細胞を保持しています。QRとQLという神経芽細胞は、右側と左側にそれぞれ6個づつ並んでいるシーム細胞列V1~V6のV4とV5の間という特定の位置に左右対称的に配置されていますが、QRは虫の成長にともない体の前方に移動し、QLは体の後方に移動します。QRとQLは移動先でそれぞれ神経細胞に分化します(4、図167-1)。いずれもひ孫世代ができるまで細胞分裂を行いますが、プログラム細胞死する細胞があるので、結局神経細胞として機能するのはそれぞれ3つで、そのうち2つは感覚ニューロン、ひとつは介在ニューロンとして機能します(4、図167-1)。

ウルバイラテリアはおそらく海底を這うために左右相称構造になったと思われますが、消化管や生殖器はひとつで良いわけですし、すべて左右相称の構造である必要はありません。非左右相称的な進化による分化、あるいはウルバイラテリア以前の伝統を引き継いだ分化が行われた可能性があり、QR・QLもおそらくそのような例と思われます。私たちも消化管や心臓はひとつです。

図167-1 C.エレガンスの神経芽細胞QR・QL

移動する細胞はまず隣接する細胞との接着を解除し、アメーバのような仮足をつくらなければいけません。このようなスイッチを入れるのは多くの生物では Rho family GTPase であり、Cエレガンスでも UNC73(これは脊椎動物の Trio のホモログです)というグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)が機能しています(5、6)。これによってGタンパク質が活性化されます。また PIX-1 という因子も同様な役割を果たしています(7、図167-2)。これらが起点となって細胞骨格の再編成が行われ、ラメリポディアのような移動装置が出現して移動の準備が行われます(7)。PIX-1 の機能を発見したダイヤーさんはその後多くの論文を発表していますが、多くはヒトの病気などに関するもので、C.エレガンスの研究はほとんど進展がないようです。C.エレガンスの研究にはサポートがないためと想像されますが、残念なことです。

仮足を細胞全体に出すと方向が定まらなくなるので、前または後ろに動くには一方だけに出す必要があります。このメカニズムはまだ不明な点があるようでが、最近のラングとルントクイストの論文に寄れば DPY-17 および SQT-3 というある種のコラーゲン分子が細胞が後方に動くために重要な働きをしているそうです(8)。

図167-2 細胞骨格の再編成

コルスワゲンらはCエレガンスのQR・QLはそれぞれ移動を始めた後、特定の位置で第1回目の細胞分裂を行うことに着目しました。もしこの細胞分裂が正常な位置よりスタート地点に近ければ、移動になんらかの不具合があるという仮説のもとに、さまざまな突然変異体の解析を行いました。そうすると図167-3のような突然変異体が細胞移動に不具合を発生していることがわかりました。特にQRでは mig-21 と dpy 、QLでは cdh-4 が致命的な欠陥をもたらしました(9)。

mig-21 はロシアの戦闘機のような名前ですが、それとは関係なく wnt-signal のモディファイアーとして機能する膜貫通タンパク質であることがわかっています。dpy はC-マンノシルトランスフェラーゼで、ホモログであるヒトの dpy19L1 は精子の機能不全をもたらすので、やはり細胞運動に関与しているのでしょう。cdh-4 はヒトでは 非クラシック Fat カドヘリンとして知られているタンパク質で、ユニバーサルな細胞接着因子のひとつですが(10)、なぜこのミュータントが移動できないかは謎です。

図167-3 細胞の移動にかかわる因子

ケニオンらも早くからCエレガンスの突然変異体の解析などから UNC-40/DCC, UNC-73/Trio and DPY-19 などが左右非相称の要因であるとの報告をしており(11)、mig-21も含めてこれらが Wntシグナリングにどうレスポンスするかを決めているとしています(12)。どうレスポンスするかは細胞によっていろいろバラエティーがあるにしても、最初のシグナルはWntがもたらすようです。QLの場合WntシグナルとしてEGL-20が最も重要なようです。図167-4にその体の後方での発現が記してあります。これによってキャノニカルパスウェイが起動し、最終的には mab-5 が移動のスイッチになるようです(4)。QRについてははっきりしていないようですが、ミドルスクープらはCWN-1、2、EGL-20のレベルが低いことによるシグナルが重要であるとしています(4)。MOM-2とLIN-44はQR・QLの移動のメカニズムには関与していないようです(4、図167-4)。

ケニオンさんはその後C.エレガンスの長生きミュータントを発見し、そちらの方面に精力を傾注しているようです(13)。いつかここでもとりあげられればいいなと思います。

図167-4 各種Wntシグナルが発現する位置

C.エレガンスの特定の神経細胞に分化するわずかな数の神経芽細胞の移動に関しても、分子レベルのメカニズムの解明にてこずるわけですから、さまざまな種類の細胞に分化する脊椎動物の神経堤細胞の解明にはまだまだ時間がかかりそうです。ただ初期発生が終わった後、細胞が個々に移動して分化するというメカニズムは、おそらくウルバイラテリア誕生以前から存在し、現存する生物たちもさまざまに修飾した上でその伝統的メカニズムを利用しているのだろうとは推測できるでしょう。節足動物や環形動物でもそれを示唆するデータが報告されています(14)。

C.エレガンスのQR・QL細胞に関する研究からもうひとつわかることは、これらの細胞が最初から運命を決定されているわけではないということです。これらの子孫の細胞はあるものはプログラム細胞死しますし、感覚ニューロンになるものもあれば、介在ニューロンになるものもあります。それらは子孫細胞において、それらが置かれている環境の影響によって決定されるものと思われます。

参照

1)J.E.Sulston, E.Schierenberg, J.G.White, J.N.Thomson, The embryonic cell lineage of the nematode Caenorhabditis elegans., Develop. Biol., vol.100, pp.64-119 (1983), https://doi.org/10.1016/0012-1606(83)90201-4
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/0012160683902014?via%3Dihub

2)Wikipedia: John Sulston
https://en.wikipedia.org/wiki/John_Sulston

3)ウィキペディア:カエノラブディティス・エレガンス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%8E%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%82%B9

4)Teije C. Middelkoop and Hendrik C. Korswagen, Development and migration of the C.
elegans Q neuroblasts and their descendants., Worm Book edited by Joel H. Rothman and Andrew Singson, (2014) doi/10.1895/wormbook.1.173.1
http://www.wormbook.org/chapters/www_qneuroblasts/qneuroblasts.html

5)Robert Steven, Lijia Zhang, Joseph Culotti, Tony Pawson, The UNC-73/Trio RhoGEF-2 domain is required in separate isoforms for the regulation of pharynx pumping and normal neurotransmission in C. elegans., Genes Dev, vol.19(17): pp.2016-2029 (2005)
doi: 10.1101/gad.1319905.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16140983/

6)Shuang Hu, Tony Pawson, Robert M Steven, UNC-73/trio RhoGEF-2 activity modulates Caenorhabditis elegans motility through changes in neurotransmitter signaling upstream of the GSA-1/Galphas pathway., Genetics, vol.189(1):pp.137-151 (2011) doi:10.1534/genetics.111.131227.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21750262/

7)Jamie O. Dyer, Rafael S. Demarco and Erik A. Lundquist, Distinct roles of Rac GTPases and the UNC-73/Trio and PIX-1 Rac GTP exchange factors in neuroblast protrusion and migration in C. elegans., Small GTPases vol.1: no.1, pp.44-61 (2010)
DOI: 10.4161/sgtp.1.1.12991
https://www.researchgate.net/publication/51231563

8)Angelica E Lang, Erik A Lundquist, The Collagens DPY-17 and SQT-3 Direct Anterior-Posterior Migration of the Q Neuroblasts in C. elegans.,
J Dev Biol, vol.9, no.1, pp.7-21 (2021) DOI: 10.3390/jdb9010007
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8006237/

9)Annabel Ebbing, Teije C. Middelkoop, Marco C. Betist, Eduard Bodewes and Hendrik C. Korswagen, Partially overlapping guidance pathways focus the activity of UNC-40/DCC along the anteroposterior axis of polarizing neuroblasts. Development vol.146, dev180059. (2019) doi:10.1242/dev.180059
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31488562/

10)Seth Blair, Helen McNeill, Big roles for Fat cadherins., Curr Opin Cell Biol, vol.51 pp.73-80 (2018) doi: 10.1016/j.ceb.2017.11.006.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29258012/

11)L Honigberg, C Kenyon, Establishment of left/right asymmetry in neuroblast migration by UNC-40/DCC, UNC-73/Trio and DPY-19 proteins in C. elegans, Development vol.127, no.21, pp.4655-4668 (2000) PMID: 11023868
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11023868/

12)Teije C. Middelkoop, Lisa Williams, Pei-Tzu Yang, Jeroen Luchtenberg, Marco C Betist, Ni Ji, Alexander van Oudenaarden, Cynthia Kenyon, Hendrik C Korswagen, The thrombospondin repeat containing protein MIG-21 controls a left-right asymmetric Wnt signaling response in migrating C. elegans neuroblasts.,
Dev Biol vol.361, no.2, pp.338-348 (2012) doi: 10.1016/j.ydbio.2011.10.029.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22074987/

13)Cynthia Kenyon, The first long-lived mutants: discovery of the insulin/IGF-1 pathway for ageing., Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci, vol.366 pp.9-16 (2011)
DOI: 10.1098/rstb.2010.0276
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21115525/

14)Yongbin Li et al., Conserved gene regulatory module specifies lateral neural borders across bilaterians., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol.114, E6352–E6360 (2017) 







 

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2021年12月11日 (土)

「製薬業界の闇」 by ピーター・ロスト

ファルマシアという会社はあまり一般には知られていないかもしれませんが、スウェーデンの製薬会社でさまざまな医薬品を販売していたほか、研究用の試薬についてもメジャーなメーカーだったので、20世紀の医学・生物学研究者にはなじみ深い会社です。2003年にファイザーに買収されましたが、この本の著者ピーター・ロストはそのときファルマシアで管理職をやっていた人です。

ファイザーはバイアグラなどでお馴染みの米国の会社ですが、世界でもトップクラスの製薬会社です。現在も新型コロナウィルスと戦う最前線の会社です。

そんな会社に買収されて、ファルマシアは「よかったね」というわけではなく、そこには非情な解雇という地獄が待っていたのです。ピーター・ロストはその解雇を担当することになりました。どうすればうまく解雇できるかという綿密な研修を受けて、それを実行することになったのですが、一番の問題は解雇された職員が次の就職先を探すために最も必要なこと、すなわち上司が推薦状を書くことを禁止されたことです。このようなひどい仕打ちに激怒したロストは会社と戦うことにしました。

これはロストと会社の血みどろの戦いの記録です。この本を読めばファイザーがとんでもないブラック企業であることがわかります。

ロストの言葉です「現在の米国は”強欲”の上に成り立っている。・・・強欲とは、ファイザーの最高経営責任者のような連中をいうのだ」

The Whistleblower by Peter Rost
Soft Skull Press, New York (2006)
日本語版監訳 斉藤武郎
東洋経済新聞社刊(2009)

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2021年12月 8日 (水)

サラとミーナ259:満足した?

かつおぶしはもうあきて食べないのかな、と思っていたら突然むしゃむしゃ食べることもあります。猫は普通食事するとすぐにその場を立ち去る習性があるみたいですが、その場で寝てしまうというのは珍しい光景です。多分他の動物が集まってくるのが嫌なのでしょうが、うちではそういうのはいないからね。

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2021年12月 4日 (土)

続・生物学茶話166:神経堤

神経堤という胚にできてくる土手のような構造は、脊椎動物の発生研究者にとってはとても目立つものです。ただそれは短い期間で消滅するので、20世紀の中頃まではあまり重視はされていませんでした。19世紀に活躍したスイスの解剖学者ヴィルヘルム・ヒスはミクロトームを発明したことで有名ですが、ニワトリが発生するときの切片を詳しく観察する中から、原条周辺の外胚葉が落ち込んで神経管をつくる細胞群、残って表皮となる細胞群のほかに、その中間に位置する部分で神経管の背側表皮の下に埋め込まれる細胞群が存在することを報告しました。そしてその3つめの細胞群を zwischenstrang と名付けました(1、図166-1)。この言葉は脳科学辞典では間索と訳していますが(2)、まさしく神経堤のことです。ヒスの本はドイツ語の長大なものですが、フリーで読めます(1)。私はもちろん読んでおりませんが、多数の図版が収録されていて、それを眺めるくらいはしました。

ヒスはまた zwischenstrang に含まれる細胞が骨髄神経節が発生する位置に移動することから、ganglionic crest という造語も行いました。ヒスは ganglionic crest が脊髄神経節をつくると信じていましたが、それは当時の発生学者には認められず、彼の説が認められるには半世紀の歳月を要しました。

図166-1 神経堤を発見したヴィルヘルム・ヒス

神経堤の研究史に、次に大きな足跡を残したのはジュリア・プラットです(3、図166-2)。彼女は19世紀の当時としては大変珍しい女性の発生学者だったせいか、なかなか良いポストに就けず米国や欧州を転々として、博士号を得たのも40才を過ぎてからでした。しかし彼女が1890年代に次々と発表した論文は、この分野では古典とも言えるものです。なかでも外胚葉である神経堤が骨や軟骨を形成するという報告は革新的でしたが、当時の発生学者には全く認められませんでした。骨や軟骨は中胚葉からつくられるというのが当時の常識でした。ヒスと同様、彼女の学説も認められるまでに長い年月を要しました。

彼女は結局満足できるポジションを獲得できなかったので、カリフォルニアの地方都市(Pacific Grove)の市長になって、ラッコの保護に力を尽くしました(当時は毛皮をとるために乱獲されがちでした)。現在でもカリフォルニアの海岸でラッコを見ることができるのは、彼女の尽力があってのことだとされています(4)。

20世紀の前半には生体染色法を使って神経堤の細胞を染色し、その動態をさぐるという研究が行われました(5-6)。これによって完全な証明にはならないものの、プラット説はかなり信用度を増すことになりました。またレイヴンはサンショウウオとイモリを使った移植実験で神経堤細胞が感覚神経をつくることを証明しようと試みました(7)。これらの実験は示唆に富んだものではありましたが、細胞の識別がクリアではなかったので、まだ隔靴掻痒感は残りました。そんな中でラ・ドゥアランは日本のウズラの細胞が非常に識別しやすい特徴を持っていることを発見し(8、図166-2)、ニワトリ胚にウズラの組織を移植すれば(またはその逆)その移植片の発生運命がはっきとたどれると考えました(9、図166-2)。図166-2にみられるように、ウズラの細胞では染色体が核小体のまわりに集中して大きな塊になって見えるので、一目瞭然でニワトリの細胞と識別できるのです(8、10)。

図166-2 神経堤細胞の行く先をさぐる

神経管は図166-3のように外胚葉の神経板が胚の内部に落ち込むことによって形成されます。このとき神経堤の細胞は一部が神経管にとりこまれ、一部は閉じられた予定皮膚の外胚葉と神経管の間のスペースに取り残されます。取り残された細胞(MNCC = migratory neural crest cells)はすぐに移動をはじめ、神経管最上部の細胞(pMNCC = premigratory neural crest cells)もそれに続いて移動します(11、図166-3)。

図166-3 神経管形成前後の神経堤細胞

胚内部に落ち込む際に、神経堤細胞はその性質を大きく変化させます。上皮細胞の特徴である1)外側と内側で異なるタンパク質を配置し極性をつくる、2)細胞同士を側面で結合させてシートを形成する、などの性質を失い極性をもたずフリーに動く間葉系細胞(胚に特有の未分化細胞)に変化します。これを Epithelial–mesenchymal transition (EMT 上皮間葉転換)といいます。この際にEカドヘリンとギャップジャンクションの喪失が大きな役割を果たすとされています(12、図166-4)。EMTは正常な発生や分化の場面だけで行われれば良いのですが、癌の転移の際にも似たようなメカニズムが発動するといわれています(12)。

図166-4 上皮間葉転換

ラ・ドゥアランらの手法などを使って、現在では神経堤の細胞が様々な組織を形成することが明らかになっていて、それが脊椎動物の大きな特徴であることがわかりました(11)。神経管は頭から下半身まであるので、神経堤も同じ長さです。図166-5は上半身についてですが、神経堤の細胞はまず咽頭弓を形成し、そこから脳の一部、眼、顔面の骨、角膜、歯、アゴ、聴覚用の骨、神経、血管、舌骨、甲状腺、副甲状腺などを形成することが示してあります(13)。これらは中胚葉由来の細胞と共同してつくられることもあります。

図166-5 頭部周辺と神経堤細胞

図166-6はある血管がドナーの神経堤由来細胞とホストの中胚葉由来細胞とのキメラで構成されていることを示しています(10、14)。このことは血管が外胚葉性の神経堤細胞と中胚葉性の細胞との共同作業で形成されることを意味しています。

図166-6 キメラ血管壁 (10)

神経堤細胞がどのような細胞に分化し、組織を形成するかをまとめたのが図166-7です(脳科学辞典の神経堤からお借りした図版、15)。特に神経系の構成を進化上リニューアルすることに大きく貢献していることがわかります。これによって脊椎動物はウルバイラテリア以来の動物の枠組みを乗り越えた形態形成を行うことができました。

図166-7 神経堤細胞の分化・予定運命のまとめ

参照

1)Wilhelm His, Untersuchungen uber die erste Anlage des Wirbeltierleibes. Die erste Entwicklung des Huhnchens im Ei., Leipzig: F. C. W. Vogel 1868.
https://archive.org/details/untersuchungen1868hisw/page/n5/mode/2up

2)脳科学辞典:神経堤
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%A0%A4

3)Julia B. Platt. Ectodermic Origin of the Cartilages of the Head., Anat. Anz., VIII. vol.8, pp.506-509 (1893)
See also: J. S. KINGSLEY., The origin of the vertebrate skeleton., The American Naruralist vol.XXVIII p.332 (1894)
https://www.journals.uchicago.edu/doi/pdf/10.1086/275985

4)Wikipedia: Julia Platt
https://en.wikipedia.org/wiki/Julia_Platt

5)Detwiler, S.R., Application of vital dyes to the study of sheat cell origin. Proc. Soc. Exp. Biol. Med. vol.37, pp.380–382 (1937)
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3181/00379727-37-9579P?journalCode=ebma

6)Hörstadius, S., The Neural Crest., Oxford University Press, Geoffrey Cumberlege (1950)
https://www.amazon.com/Neural-Crest-Sven-HORSTADIUS/dp/B000K717LE

7)Raven, C.P., Experiments on the origin of the sheat cells and sympathetic
neuroblasts in Amphibia. J. Comp. Neurol. vol.67, no.2 pp.221–240. (1936)
https://www.deepdyve.com/lp/wiley/experiments-on-the-origin-of-the-sheath-cells-and-sympathetic-MomfRSwyoQ

8)Le Douarin, N., Details of the interphase nucleus in Japanese quail (Coturnix
coturnix japonica). Bull. Biol. Fr. Belg. vol.103, pp.435–452.(1969)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/4191116/

9)Le Douarin, N., A biological cell labeling technique and its use in experimental
embryology. Dev. Biol. vol.30, pp.217–222. (1973)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/4121410/

10)Domenico Ribatti, Nicole Le Douarin and the use of quail-chick chimeras to study the developmental fate of neural crest and hematopoietic cells., Mechanisms of Development, vol.158, 103557 (2019)
https://doi.org/10.1016/j.mod.2019.103557

11)Joshua R. York and David W. McCauley, The origin and evolution of vertebrate neural crest cells., Open Biol., vol.10, issue 1, 190285 (2020) https://doi.org/10.1098/rsob.190285
https://royalsocietypublishing.org/doi/pdf/10.1098/rsob.190285

12)Wikipedia: Epithelial–mesenchymal transition
https://en.wikipedia.org/wiki/Epithelial%E2%80%93mesenchymal_transition

13)File: Cranial Neural Crest Cells - migration.jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cranial_Neural_Crest_Cells_-_migration.jpg

14)Roncali, L., Virgintino, L., Coltey, P., Bertossi, M., Errede, M., Ribatti, D., Nico, P.,Mancini, L., Sorino, S., Riva, A., Morphological aspects of the vascularizazion in intraventricular neural transplants. Anat. Embryol. vol.193, pp.191–203. (1996)

15)脳科学辞典:神経堤
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%A0%A4

 

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2021年12月 3日 (金)

ボルケーノ・パーク(天火 Sky Fire)

WOWOWで中国のパニック大作映画「天火(Sky Fire)」邦題ボルケーノ・パークを見ました。スケールの大きいハリウッドも顔負けの映画っていうより、ハリウッド映画の伝統をきっちり受け継いだ映画のように思いました。内容は火山島にあるリゾートが噴火でパニックになるというお話です。

グラフィックがすごいですし、この画像の主演女優ハンナ・クインリヴァン 昆凌 Kun Ling = 本名:武誼蓁 (ウー・イージェン)の存在感も素晴らしいものがあります。ただアクションとグラフィックに力点を置いたために、人間関係にいまいち深みを与えられなかったという点で超B級映画との批判もあり得ます。もともとハリウッド映画がそうだといえばそうなのですけどね。U-Next などで見られます。
https://video.unext.jp/title/SID0054443

参照

https://eiga.com/movie/93793/

https://movies.yahoo.co.jp/movie/374054/

(画像はウィキペディアより)

 

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2021年12月 1日 (水)

新型コロナワクチンの毒性 新知見

ファイザーやモデルナの改造mRNAワクチンは、そのままでは細胞に入らないので、脂質ナノ粒子の膜に包んで投与します。そうするとmRNAがうまく細胞内にとりこまれます。

フィラデルフィアのトーマス・ジェファーソン大学のグループが驚愕の発表をしました。その内容はmRNAワクチンの毒性は、mRNAよりむしろそれを包んでいる脂質ナノ粒子によるものだというものです。これは盲点をつかれました。しかしおそらくメーカーはこのことには最初から気づいていたのではないでしょうか?

参照

Sonia Ndeupen, Zhen Qin, Sonya Jacobsen, Aurelie Bouteau, Henri Estanbouli, and Botond Z. Igyarto
The mRNA-LNP platform’s lipid nanoparticle component used in preclinical vaccine studies is highly inflammatory
iScience. 2021 Nov 20 : 103479.
doi: 10.1016/j.isci.2021.103479

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8604799/

 

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2021年11月30日 (火)

オミクロン株の流入

日本の検疫は基本抗原検査でやっているそうです。抗原検査というのは、その抗原と特異的に結合する抗体を使って抗原を検出するという方法ですが、この方法の特異性とか検出感度は使用する抗体に依存します。ですから一概に精度が高いとか低いとかは言えません。

私たちにウィルスが感染すると、そのウィルスが持っている様々なタンパク質に対する抗体ができて中和しようとします。このときできた多種類の抗体のことをポリクローナル抗体といいます。ウィルスをウサギに投与して、ウサギの血液を採取するとポリクローナル抗体を集めることができますが、このような抗体は投与したウサギによって質・量ともさまざまなものができるため品質がバラバラとなりますし、もちろん精製しないと使えません。大量生産にも向いていません。実は単一のタンパク質を動物に投与しても、抗体は複数の種類ができてしまいます。

これに対してモノクローナル抗体は試験管内で作ることができる均一な抗体で、抗原検査は通常このモノクローナル抗体を使って行われます。新型コロナウィルスの場合、何を抗原とするモノクローナル抗体を作成するかというと、ヌクレオキャプシドという遺伝物質の保護構造を形成するタンパク質(コアタンパク質)を抗原とする場合が多いようです。このタンパク質はひとつのウィルスに含まれる量が多いからなのでしょう。

ですから抗原検査の精度については、ある株のウィルスのコアタンパク質に対して作られた抗体を使うと、その株の検出には高い精度で対応できるわけです。しかしたとえばデルタ株のコアタンパク質に対する抗体を使って、他の株を検出しようとすると、その精度はその株のコアタンパク質がどのくらいデルタ株と異なるか(変異しているか)によります。

したがって貧乏でせっかちなためPCR検査がままならないわが国の空港や港湾では、オミクロン株の検出がままならず流入を阻止できない可能性が高いのです。ですから岸田総理が外国人の全面入国禁止措置を行ったのはやむを得ないといえます。もう一つ重要なことは邦人の帰国の際に抗原検査ではなく必ずPCR検査と隔離を行うことです。これによってオミクロン株の流入を理論上は完全に防げますが、多分PCR検査用のプローブ(オミクロン株のRNAに相補的な配列を持つDNA)が間に合わなかった可能性が強いので、すでに国内に流入しているかもしれません。それがないように祈りたいです。

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2021年11月27日 (土)

南アフリカの新型コロナウィルス(オミクロン)

新型コロナウィルスの正式名称は SARS-CoV-2 で、2002年に流行したSARSのウィルスは SARS-CoV なので親戚に当たります。2013年に流行した MERS-CoV も親戚筋です。これらのウィルスが持つ酵素や構造タンパク質はゲノムDNAの配列が90%以上一致していて(1)、タンパク質レベルではほぼ同じだと思われます。その主要なものは増殖のための酵素、タンパク質分解酵素、ホストの正常な蛋白合成を妨げる因子、スパイクタンパク質、外殻構造タンパク質、遺伝物質を覆って保護するタンパク質などです。

SARS と MARS の違いはスパイクタンパク質が結合するホストのタンパク質が異なることで、前者は angiotensin-converting enzyme 2 受容体、後者は dipeptidyl peptidase 4 受容体にとりついて細胞内に侵入します。このあたりのメカニズムがそれぞれ異なることは予想されます。

最近南アフリカで発生し蔓延している新型コロナウィルスの B.1.1.529 という変異株(オミクロンと命名されたようです)が話題になっています。Christina Pagel 博士が発表した下図(2)のピンクの部分がスパイクタンパク質をコードするゲノム領域です。今回発生した変異体は、この図で数えると33ヵ所の変異が認められます。スパイクタンパク質にも多数の変異が見られます。これだけ変異が見られるにもかかわらず感染する能力が失われていないのが驚異的です。これだけ変異していると、ワクチンや抗体治療薬も全く役に立たない可能性が大です。まあmRNAワクチンはシーケンスを変えればよいだけなので、変異ウィルスに対応した新しいものがそのうち出てくるでしょうが。

私はワクチンを接種した翌々日から左胸に違和感が発生し、数ヶ月経った今でもその押されるような嫌な気分の違和感はなくなりません。ファイザーやモデルナの分解困難なように改造されたmRNAは、不活化はされても完全に体内からなくなりはしないと思います。数ヶ月経っても違和感がなくならないのはmRNAが造ったスパイクタンパク質のせいではなく、処理できないmRNAの部分分解産物が抗原となって免疫反応を引き起こしているのではないかと疑っています。

それはさておき、このオミクロンの日本侵入だけは勘弁して欲しい。

1)Ahmad Abu Turab Naqvi et al., Insights into SARS-CoV-2 genome, structure, evolution, pathogenesis and therapies: Structural genomics approach., Biochim Biophys Acta Mol Basis Dis. 2020 Oct 1; 1866(10): 165878.Published online 2020 Jun 13. doi: 10.1016/j.bbadis.2020.165878
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7293463/

2)Threader: Prof.Christina Pagel
https://threader.app/thread/1463885539619311616



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2021年11月25日 (木)

続・生物学茶話165:脊索の起源をめぐって

ノトコード(脊索)の存在をはじめて記載したのはエストニア生まれの生物学者フォン・ベーアだとされています(1、2、図165-1)。これは1828年のことで、彼の記載はニワトリについてのものですが、すぐに他の脊椎動物についても同様な組織がみつかって、1836年にはナメクジウオについても報告されているそうです(2、3)。私は入手していませんが、このYarellの本は復刻されて販売されています(3)。フォン・ベーアの本も(図165-1)ドイツ語の大著なので、私はとりついておりません。ドイツ語がわかる方はウェブでフリーで読めます(1)。

図165-1 フォン・ベーアによる脊索の発見

その後ノトコードの研究に深く関わったのはアレクサンダー・コヴァレフスキーというロシアの発生生物学者で、彼はナメクジウオのノトコードの発生や性質について詳しく研究し、ノトコード研究の父とも言える人です(4)。彼の名が知れ渡ったのは、ホヤの幼生がノトコードを持っていることを報告したからです(5、6、図165-2)。フォン・ベーアはホヤは軟体動物だとしていましたし、一般的にもそう認識されていたので、脊椎動物と近縁であることがわかったときには、すべての研究者が驚いたことでしょう(2)。ホヤは成体になるとノトコードを消失させます(図165-2)。これは脊椎動物と同じです。

図165-2の赤丸1がノトコード、紺丸2が神経索です。しかし成体ホヤではどちらも記載されていません。ホヤの場合成体ではノトコードは消失しますが、なんと中枢神経系の細胞も成体になるときにいったんほとんど死滅してしまいます。その後グリア細胞によってニューロンが新生し中枢神経系が再構築されるようです(7)。再生された成体の中枢神経系は幼生の中枢神経系のような目立つ構造ではないので、このウィキペディアの図では描かれていないのでしょう。

図165-2 コヴァレフスキーの研究

ノトコードの起源については大きく分けて2つの仮説があります。ひとつは脊索動物が独自に獲得した固有の構造であるという考え方、もうひとつは環形動物などのアクソコードと相同であり、ウルバイラテリアン(最初に左右相称性を獲得した動物)の時代から存在しているという考え方です(8)。どちらが正しいかというのはなかなか難しい問題です。というのはカンブリア紀(5億4100万年前~4億8500万年前)にすでに脊索動物が存在し、ミロクンミンギアのようにすでに脊椎をもっていたと思われるような動物までが存在していたことが化石から示唆されているからです(9、10、図165-3)。

カンブリア紀に生きていた Vetulicolia という生物については前口動物(Protostomia)か後口動物(Deuterostomia)かという論争がありましたが、García-Bellido らによってノトコードをもつと思われる個体の化石が報告され、後口動物であることが強く示唆されました(11、図165-3)。これによってカンブリア紀前期にはすでに立派なノトコードを持つ生物が存在していて、ノトコードの起源はおそらくエディアカラ紀以前ということになりました。このことは化石から解決を求めることが極めて困難であることを意味します。

図165-3 カンブリア紀の脊索動物 ヴェトゥリコリアは脊索をもっていた
ウィキペディアと参照文献(11)より

Sui らの総説に後口動物のノトコードと前口動物のエクソコードを比較した断面図があったので、図165-4として示しました(8、165-5と共に非商用利用が引用を条件に許可されています)。アクソコードは環形動物におけるノトコードのホモログとしてラウリらが名付けた構造です(12)。アレントらはこの正中線に沿って、まだ内胚葉とはっきり区別できない中胚葉から形成される構造アクソコードは、ほとんどの環形動物に存在し、また他の前口動物にも認められるノトコードのホモログであり、始原的左右相称動物であるウルバイラテリアの時代から存在する基本構造であると主張しています(12,13)。

脊椎動物(ゼブラフィッシュ)と尾索動物(ホヤ)では、成体になるとノトコードは失われるので、幼生の図です。頭索動物(ナメクジウオ)と、ここでは唯一の前口動物(環形動物)ではそれぞれノトコード・アクソコードは成体にもみられます。ただし脊索動物では背腹軸が逆転している(ジョフロワ説)とされているので、背腹(上下)の位置関係は異なります。A-Cでは上(背)から予定表皮・神経管・ノトコードとなりますが、Dではアクソコード・神経管・予定表皮の順になっています。あとノトコードはシングルなのに、アクソコードはダブルという違いもあります(図165-4)。

環形動物のアクソコードは基本的に筋肉です。頭索動物ナメクジウオのノトコードはやはり筋肉ですが、尾索動物ホヤや脊索動物ゼブラフィッシュではかなり液体の部分が増えて、構造が著しく変化しています(8)。これはおそらくこれらの動物では成体ではこの組織そのものは消失するので、後継の組織にバトンタッチすれば良いからでしょう。神経または神経+骨髄を誘導すればノトコードの組織としての役割は終わり、パワーユニットとしてのノトコードは不要なのです。

図165-4 ノトコード・アクソコードと中枢神経の位置

ノトコードとアクソコードで発現している主要な転写因子を並べたのが図165-5です(8)。発生初期の中胚葉で発現している因子とはガラッと変わっていることがわかります。特筆すべきはノトコードとアクソコードで発現している因子がほとんど同じだということで、これは両者がホモローガスであることを強く示唆しています。特に Brachyury (ブラキウリ、ブラチュリーなど発音が定まっていないようです)というノトコードの形成に最も重要な因子がアクソコードでも発現していることは重要です。唯一 Not という因子がノトコード特異的に発現していますが、これを命名した人は頭がおかしいのではないかと疑います。こんな名前をつけたら検索すらできないじゃありませんか? というわけでこれはパスします。

図165-5 ノトコードとアクソコードに発現する転写因子の比較

 

参照

1)von Baer KE. Uber Entwickelungsgeschichte der Thiere, Beobachtung und Reflexion. Part 1. Konigsberg: Borntrager; (1828)
https://www.biodiversitylibrary.org/item/28306#page/16/mode/1up

2)Giovanni Annona, Nicholas D. Holland and Salvatore D’Aniello, Evolution of the notochord., EvoDevo vol.6: no.30 (2015)
DOI 10.1186/s13227-015-0025-3

3)Yarrell W. A history of British fishes, vol. 2. 1st ed. London: Van Voorst;
1836.
https://www.amazon.co.jp/History-British-Fishes-2/dp/1179686616

4)Kowalevsky A. Weitere Studien uber die Entwickelungsgeschichte
des Amphioxus lanceolatus, nebst einem Beitrage zur Homologie
des Nervensystems der Wurmer und Wierbelthiere. Arch Mik Anat.
1877;13:181-204.

5)Kowalevsky A. Entwickelungsgeschichte der einfachen Ascidien. Mem
Acad Imp Sci St-Petersbourg (Ser VII). 1866;10(number 15):1-19.

6)Wikipedia: Alexander Kowalewsky
https://en.wikipedia.org/wiki/Alexander_Kovalevsky

7)Takeo Horie, Ryoko Shinki, Yosuke Ogura, Takehiro G. Kusakabe, Nori Satoh, Yasunori Sasakura, Ependymal cells of chordate larvae are stem-like cells that form the adult nervous system., Nature, vol.469, pp.525-528 (2011) DOI: 10.1038/nature09631
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21196932/
https://www.shimoda.tsukuba.ac.jp/~sasakura/research_CNS_reconstruction.html

8)Zihao Sui, Zhihan Zhao and Bo Dong, Origin of the Chordate Notochord., Diversity, vol.13, 462. (2021) https://doi.org/10.3390/d13100462

9)ウィキペディア:ミロクンミンギア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%AD%E3%82%AF%E3%83%B3%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%82%A2

10)Wikipedia: Vetulicolia
https://en.wikipedia.org/wiki/Vetulicolia

11)Diego C García-Bellido, Michael S Y Lee, Gregory D Edgecombe, James B Jago, James G Gehling and John R Paterson, A new vetulicolian from Australia and its bearing on the chordate affinities of an enigmatic Cambrian group., BMC Evolutionary Biology vol.14:214 (2014) DOI:10.1186/s12862-014-0214-z
https://www.researchgate.net/publication/266566755_A_new_vetulicolian_from_Australia_and_its_bearing_on_the_chordate_affinities_of_an_enigmatic_Cambrian_group

12)Lauri A, Brunet T, Handberg-Thorsager M, Fischer AHL, Simakov O, Steinmetz
PRH, Tomer J, Keller PJ, Arendt D. Development of the annelid axochord: insights into notochord evolution. Science. vol.345: pp.1365–1368.(2014) DOI:10.1126/science.1253396
https://www.researchgate.net/publication/265606919_Development_of_the_Annelid_Axochord_Insights_into_notochord_evolution

13)Thibaut Brunet, Antonella Lauri and Detlev Arendt, Did the notochord evolve from an
ancient axial muscle? The axochord hypothesis., Bioessays vol.37: pp.836–850 (2015) DOI:10.1002/bies.201500027
https://www.researchgate.net/publication/280124751_Did_the_notochord_evolve_from_an_ancient_axial_muscle_The_axochord_hypothesis

 

 

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2021年11月23日 (火)

サラとミーナ258:納まるべきところに

とても珍しく、サラとミーナがこちらが用意してここで寝て欲しいという場所で寝ています。

最近は値上がりしたり量が減ったりする商品が多いですが、猫砂も結構値上がりしています。トフカスサンドもなかなか安いものは手に入りにくくなっています。アマゾンよりペットショップが安いので、重い砂をかかえてかえることが多くなりました。

休日の100円ショップのこみ方もひどいです。レジの列が数十メートルにもなります。日本は国債を大量に発行しているので、金利を上げられません。上げると国家が借金返済で破滅します。でどうなるかというと円安です。これで生活が苦しくなります。

日本の企業の国家支配が進んでいますが、ついに新生銀行の買収防衛に対して国家が反対するという事態になりました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211123/k10013358231000.html

台湾の半導体工場を政府が日本に誘致するというのも、日本が国家社会主義に踏み出したという証拠です。
私はそれに反対しているわけではなく、むしろ遅きに失していると思っています。

ただそうやって国家ぐるみで産業をささえようとしても、結局中国や米国にかなうわけはなく、水野和夫流に世界資本支配と世界自由貿易戦争を拒否した「閉ざされた国家連合」で生存を計るのがベターだと思います。国家連合内で自給自足すれば、過度な競争による賃金の抑制や負け組の破滅が避けられます。

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2021年11月21日 (日)

チャビ・エルナンデスの帰還

チャビ・エルナンデスがバルサの監督として帰還しました。スペインサッカー協会のルールでメッシをかかえられなくなったバルサ。故障者が続出する上に補強もままならなくなり、衰退の一途をたどりそうでしたが、チャビが奇跡の再建をなしとげられるかどうか?

今日の試合はエスパニョールが前半ドン引きだったので変化はよくわかりませんが、サイドを突破してからマイナスのパスを中央にもどすという場面が多かったように思いました。PKはご祝儀みたいなものでした。後半はピンチの連続で、よくまあ勝てたものだと思います。ちょっと目を引いたのが、後半右エストレーモで登場したアブデ(アブデサマド・エザルゾウリ)という選手で、ドリブル突破もできるし、クロスも割と正確という・・・なかなかいいじゃないの! 使うべし。
https://www.fcbarcelona.jp/ja/news/2317861/

土曜日にチャンピオンズリーグのライプツィッヒ vs パリの試合を覗いてみましたが、ライプツィッヒのスタジアムは人数制限なしでほとんどマスクしている人はいません。おまけに大騒ぎでチームを応援。これじゃあいくらワクチンパスポートがあっても、感染爆発が起きるのは当たり前です。いいかげんでワクチン至上主義はダメだということを理解して欲しい。私はドイツという国はかなりリスペクトしていたのですが、こんなにバカな人が多くてはどうしようもありませんね。

From Worldometer

これにくらべるとカンプノウは7万人入場したそうですが、かなりの人がマスクをしていました。でもしていない人もそこそこいたので、ドイツほどではないにしても、感染再拡大しそうな悪い予感がしました。

(チャビの写真はウィキペディアより)

 

 

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2021年11月19日 (金)

続・生物学茶話164:脊索(ノトコード)

クラゲなどの一部を除き多くの動物には口と肛門があり、それをつなぐパイプ(消化管)を持っています。ともかく捕食して排泄しないと動物は生きていけません。卵はひとつの細胞ですが、それがランダムに分裂を繰り返すと大きな球ができるだけなので、なんらかの方法で形態形成を行う必要があります。すなわち、あるタイミングで胚という細胞塊に「消化管というひとつのパイプを貫通させる」というトンネルを作成する作業が必要です。

カエルの卵がよくモデルとして利用されます。穴掘りのきっかけを作るのがボトル細胞という細胞群で、この細胞は外界と接する外側にアクチンとミオシンによる筋肉と同様な収縮システムを持っており、この作用によって細胞の外側だけ収縮させて原口というくぼみをつくります(1、図164-1)。このようなくぼみができない状態で、左右から力が加われば図164-1Aのように、胚に土手のような構造ができるはずです。紙のシートで試してみればわかります。ですから少しでもくぼみができることは生物が形態を形成する上で非常に重要です。

原口は外から見るとくぼみ(割れ目)ですが、内から見るとこれは土手です。最外層の内側で増殖する細胞はこの土手によって行く手を防がれ方向転換して内部へとなだれ込みます(図164-1)。この細胞の動きにともなって割れ目は深く進展し、外側の細胞も巻き込んで原腸が形成されていきます。この割れ目から内部に落ち込んだ細胞が中胚葉を形成し、消化作業を行う本物の腸は内胚葉細胞によって完成されます。最初にくぼみを作るボトル細胞は、それが形態形成を主役として実行するわけではなくて、ひとつのきっかけをつくるという意義を持つものです。原腸形成前後のプロセスは昔からどんな発生学の教科書にも書いてあることですが、そのメカニズムは非常に複雑でいまだに不明な点が多く解明が待たれます(2、3)。

図164-1 原腸陥入 Findings by Lee and Harland

カエルの卵の原口は大きく湾曲していますが、脊椎動物の原口はストレートな形状になっていて、原始線条または原条とよばれ、カエルの場合と同様に細胞がここから内部に落ち込んで中胚葉が形成されます(4、図164-2)。もともとはカエルの原口に相当すると思われる部位は鳥類ではヘンゼン結節、哺乳類ではノードとよばれています。内部に落ち込んだ細胞によって中胚葉が形成されます。

図164-2 脊椎動物の原条形成

脊索動物門の生物は他の門の生物と異なり、落ち込んだ中胚葉細胞によって脊索(ノトコード)を形成します(5、6、図164-3)。脊索はコラーゲン線維に包まれた棒状の構造物で、中の細胞は糖タンパク質を豊富に含みます(7)。始原的左右相称動物では、この左右に筋肉を付着させて迅速な移動を行うために有用だったと思われますが、現生の脊索動物では中枢神経系を誘導したり、脊椎を構築してその一部となるなど新たな機能が追加されることになりました。脊索は図164-3のように外胚葉の一部をくびれさせて神経索を誘導したり、その際に第4の胚葉といわれる神経堤(neural crest)が出現させたりします。神経堤は将来各種末梢神経系の神経細胞や、シュワン細胞・メラニン細胞(メラノサイト・皮膚の色素細胞)・副腎髄質などのクロム親和性細胞、心臓の平滑筋・顔面の骨や軟骨・角膜や虹彩の実質・歯髄など、後に多様な細胞種に分化することになります(8)。

図164-3 脊索と神経索

ノトコードによる神経誘導にはソニックヘッジホッグタンパク質(Shh) が重要な役割を果たしていると思われますが、チェンバレンらはこれを証明するために、Shh の遺伝子にGFP(緑色蛍光タンパク質)の遺伝子を組み込みました(9、図164-4)。プロセッシングによってC側が切り取られたときに、C側に代わってコレステロール化される位置に組み込んだので受容体は Shh と認識してくれるようです。組み込まれたGFPによって Shh を緑色に光らせると、図164-4DとEのように、ノトコードからフロアプレートあたりに、胎生8.5日目から9.5日目にかけて光る部分が広がっていることがわかります。

しかし実際は一筋縄ではいきません。Shh-GFP 遺伝子のmRNAを調べたところ、ノトコードだけではなく、神経管のフロアプレートにも検出されたのです(図164-4AB)。このような現象は Gli2をホモで欠損しているミュータントではおこりません(図164C)。したがっておそらくノトコードからの Shh の情報を受けて、Gli2 などの作用でフロアプレートの一部の細胞が Shh を合成し始めたと思われます。このことは単純にノトコードがリガンドを使って神経を誘導するというニュアンスとは少し違って、予定神経領域が自ら神経への誘導を行っていることを示唆しています。

図164-4 ソニックヘッジホッグの発現

外胚葉にはBMPの分子群がもともとあって神経への変化を妨げているのですが、ノトコードはここから落ち込んだ細胞のBMPの作用を妨げて神経への分化を誘導します。脳科学辞典の神経誘導の項目を見ると Noggin/Chordin/Follistatin はBMPリガンドに結合して無効化することによって神経誘導を行うと記載しています(10、図164-5)。マイヤーズとケスラーによると、 Shh の他 Noggin、Chordal、そしてBMPと同じTGF-βスーパーファミリ-に属する Nodal がノトコード側の因子としてアンチBMPとして機能しているようです(11)。これらによってそのままだと表皮になってしまうはずの外胚葉が神経組織に誘導されます。

脊椎動物の場合、神経管が誘導されるとそれで終わりではなく、神経管および周囲の組織を巻き込んでさらに複雑な脊椎や運動神経・感覚神経などを制作することになるので、その準備を始めなければいけません。ルーフプレート由来のGDFやWNTはその準備作業を行うようです。マイヤーズとケスラーは神経管内におけるさまざまな領域分化について言及しています(11)。

図164-5 BMPの作用を抑制する

神経管や周辺組織が脊椎などを造るステージに入ったときに、円口類を除く脊椎動物ではノトコード(脊索)が消失します。ハーフェやリスバッドはノトコードという構造は解体されても、その細胞は髄核の中で生き延びると主張しています(12、13、図164-6)。確かに Shh は椎間板の内部にある髄核に発現しています(図164-6)。詳細なエヴィデンスを知りたい方は原著をご覧ください。ハーフェの論文の筆頭著者であるチョイさんのよい画像はみつからなかったので掲載できませんでした。

図164-6 脊索の運命について

椎間板は内部の髄核とそれを取り囲む線維輪からなり、脊椎のクッションとなって体重をささえている重要な組織です(14)。

参照

1)Lee, J.; Harland, R. M., Actomyosin contractility and microtubules drive apical constriction in Xenopus bottle cells". Devel. Biol. vol.311, pp.40-52. (2007)  doi:10.1016/j.ydbio.2007.08.010. PMC 2744900 Freely accessible. PMID
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0012160607012559?via%3Dihub

2)Huang Y, Winklbauer R., Cell migration in the Xenopus gastrula. Wiley Interdiscip Rev Dev Biol., vol.7(6): e325. doi: 10.1002/wdev.325. (2018)
https://www.researchgate.net/publication/326017419_Cell_migration_in_the_Xenopus_gastrula

3)福井彰雅 原腸陥入運動とケモカインシグナル 生物物理 vol.48(1),pp.23-29(2008)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/48/1/48_1_023/_pdf

4)S. Chernoivanenkoa, An. A. Minina, and A. A. Mininb, Role of Vimentin in Cell Migration., Russian J. Develop. Biol., Vol.44, No.3, pp.144–157 (2013)
https://www.researchgate.net/publication/257852243_Role_of_vimentin_in_cell_migration

5)Wikipedia: Neural plate
https://en.wikipedia.org/wiki/Neural_plate

6)Derek L. Stemple, Structure and function of the notochord: an essential organ for chordate development., Development vol.132, pp.2503-2512 (2005) doi:10.1242/dev.01812
file:///C:/Users/morph/AppData/Local/Temp/structure-and-function-of-the-notochord-an-essential-organ-for-chordate-development.pdf

7)Wikipedia: Notochord
https://en.wikipedia.org/wiki/Notochord

8)脳科学辞典:神経堤
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%A0%A4

9)Chester E. Chamberlain, Juhee Jeong, Chaoshe Guo, Benjamin L. Allen, Andrew P. McMahon, Notochord-derived Shh concentrates in close association with the apically positioned basal body in neural target cells and forms a dynamic gradient during neural patterning.,
Development vol.135 (6): pp.1097–1106. (2008) https://doi.org/10.1242/dev.013086
https://journals.biologists.com/dev/article/135/6/1097/65055/Notochord-derived-Shh-concentrates-in-close

10)脳科学辞典:神経誘導
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E8%AA%98%E5%B0%8E

11)Emily A. Meyers and John A. Kessler, TGF-b Family Signaling in Neural and
Neuronal Differentiation, Development, and Function., Cold Spring Harb Perspect Biol ; vol.9, no.8 a022244 (2017) doi: 10.1101/cshperspect.a022244.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28130363/

12)Choi KS, Cohn MJ, Harfe BD,Identification of nucleus pulposus precursor cells and notochordal remnants in the mouse: implications for disk degeneration and chordoma formation. Dev Dyn., vol.237(12): pp.3953–3958. (2008) doi:10.1002/dvdy.21805
https://anatomypubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/dvdy.21805

13)Makarand V. Risbud, Thomas P. Schaer, and Irving M. Shapiro, Towards an understanding of the role of notochodal cells in the adult intervertebral disc: from discord to accord. Dev Dyn., vol.239(8): pp.2141–2148.(2010) doi:10.1002/dvdy.22350
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3634351/

14)腰痛|症状や原因: 椎間板の役割
https://www.lumbago-guide.com/intervertebral-disc.html

 

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2021年11月16日 (火)

J-POP名曲徒然草217:愛が消えないように by まきちゃんぐ

新型コロナ感染症の蔓延は、特に零細な飲食業界や音楽業界に大きな影響を及ぼしました。まきちゃんぐは苦しい生活を余儀なくされたすべての人々のために渾身の1曲を制作し、歌いました。

マスクはまだはずせませんが、蔓延はようやく収束してきました。この異常な苦難の日々を乗り越え、再び思い切り空気が吸える日を迎えたいものです。

愛が消えないように (作詞・作曲・歌唱 まきちゃんぐ)
https://www.youtube.com/watch?v=-PJlrmWwOiw

 

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2021年11月14日 (日)

ノロジャーニー2022

来年用のダイアリーを購入しました。毎年今年で最後かなと思いつつ購入していた「Norojourney」ですが、ノロ20才にしてまだ健在で、きちんとお仕事をこなしていました。

今年は新型コロナ蔓延で、さすがに海外旅行は無理だったそうで、過去写真や自宅(八ヶ岳)近傍の写真で作成したようです。困難な作業だったことが忍ばれます。

NOROJOURNEY 2022 主役:黒猫ノロ 制作:平松謙三 発行:グリーティングライフ

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2021年11月11日 (木)

ALBA SQ@J:COM浦安音楽ホール 2021/11/11

今日は月と土星と木星が接近して二等辺三角形をつくるという天文ファンにとっては楽しい日だそうです。たしかに面白い光景でした。

11月いっぱい都響は新国立劇場に張り付いて「マイスタージンガー」をやるそうで、演奏会はありません。私はまあそういうところに出入りする身分ではないので、浦安のJ:COM浦安音楽ホールにでかけました。駅から近くて便利な場所にあります。SQの演奏にはベストのサイズだと思いました。音響も素晴らしいです。中2階のような席があって、ここはなかなか得がたい心地よさです。

弦楽四重奏の演奏会に行く機会は数年に一度くらいしかないので、聴いたことがない曲が多いのですが、今日はメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第6番が素晴らしい名曲であることを発見できました。アルバSQのおかげです。

都響の小関さんしか私は存じ上げないメンバーでしたが、皆さん素晴らしいプレイヤーで感動しました。このSQはじめての演奏会のようで、ある方がオーケストラの癖(皆さんオケメン)で楽譜を持たずに出てきたのには爆笑しました。

小関さんはピューマみたいに躍動し縦横無尽に演奏していました。このメンデルスゾーンのようなハイエナジーの曲は合っているようです。

 

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サラとミーナ257:介護食

ミーナはすっかり高齢猫になってしまって、脚の筋肉やアゴの筋肉が弱ってきました。うちに来てから14年くらいはロイヤルカナンのカリカリ1本でやってきたのですが、ここ2年くらいはやわらかい介護食になっています。介護食になってから、いつも同じエサでいいかというとそうではなくて、すぐ飽きてしまうのでとっかえひっかえになっています。それでも一応お気に入りなのがこれ。

北里大学に感謝です。

よぼよぼになったといっても、それは体だけでメンタルは全くガキのままなのがミーナの特徴です。足がよれよれなのにおもちゃのネズミをはじきながら廊下を全力疾走します。今は体重3キロですが、7キロあったころの若かりしミーナ。サラはずっと体重4キロ弱でよいレファレンスになっています。サラはメンタル的にはすっかり怠惰になりましたが、体の衰弱はみられません。

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2021年11月 9日 (火)

続・生物学茶話163:ヘッジホッグ

ひとつの細胞=卵から、ありとあらゆる体の細胞が正しいタイミング、正しい位置に形成されるというのは生物学における最大の謎でしたが、初期発生におけるそのメカニズムの基本的な部分はエドワード・ルイス、エリック・ヴィーシャウス、クリスティアーネ・ニュスライン=フォルハルトが中心となって、20世紀のうちに解明されました(1)。

彼らはショウジョウバエにランダムに変異を誘導し、形態が異常になった個体の遺伝子を調べることによって初期発生に関与する遺伝子を同定し、それらに機能や動作のヒエラルキーがあることを解明しました。もちろん彼ら以外にも多くの研究者達が貢献していますが、その結果を図163-1に示しました。先鞭をつけたルイスはトーマス・ハント・モーガンの弟子であるスターティヴァントの弟子であり、モーガンの孫弟子ということになります。ルイスは発生遺伝学以外にも、広島・長崎における原爆被害を調査するという仕事もやっており、放射線の影響に閾値はなくリニアであるという放射線生物学の基本的なセオリーを提唱しました(2)。

エリック・ヴィーシャウスとクリスティアーネ・ニュスライン=フォルハルトはハイデルベルクで共同で研究室を立ち上げ、約2万のショウジョウバエ変異種を分離して、そのなかから初期発生に関与する遺伝子のミュータント120をみつけ、さらにその中から分節形成に関与する15の遺伝子を同定しました(3、図163-1)。彼らはルイスと共に、1995年度のノーベル生理学医学賞を受賞しました。

図163-1 形態形成遺伝子とその発見者達

ルイスが使った実験動物はショウジョウバエでした。発生学の研究はウニ・カエル・ニワトリ・マウスなどが中心だったので、当初ルイスの仕事は軽視されていたようなのですが(2)、生物にとって基本的な遺伝子であればあるほど共通性は高く、ひとつの種で同定されればその相補性配列を使って遺伝子の海から類似遺伝子を釣り上げることができますし、全ゲノム配列が解明されれば、コンピュータでこの操作を行うこともできます。ルイスの仕事は彼が高齢になった頃には非常に注目されることになりました。

ニュスライン=フォルハルトとヴィーシャウスはショウジョウバエ幼虫の表面の剛毛が正しい位置に配置されず、体表全体にはえてきてハリネズミのようになってしまう変異体をみつけ、それにヘッジホッグ(ハリネズミ)という名前をつけました(3)。これと相同な遺伝子は脊椎動物でもみつかりました(4)。類似した遺伝子を哺乳類で探すと、ショウジョウバエではこの種の遺伝子がひとつしかないのに3つみつかりました。哺乳類ではデザート・ヘッジホッグ(dhh)、インディアン・ヘッジホッグ(ihh)、ソニック・ヘッジホッグ(shh)の3種類のヘッジホッグがそれぞれ別の遺伝子にコードされています(5)。インガムとマクマホンは様々な生物で、hhがどのように変化してきたかを調査しました(6)。その結果が図163-2です。脊椎動物以前では1系統、以降では3系統となっていることがわかります。ゼブラフィッシュはdhhの系統を失った代わりに、他の2系統のバラエティーを増やしました(図163-2)。

哺乳類ではshhを中枢神経系誘導や四肢の発生など非常に重要なプロセスで利用していますが、ショウジョウバエのヘッジホッグと最も類似しているのはdhhだそうです(5)。ヘッジホッグと類縁のタンパク質は扁形動物(7)や刺胞動物(8)にも報告されていますが、襟鞭毛虫にもその萌芽が見られる(9)ということで、メタゾアを越えたユニバーサリティーと悠久の歴史を持つファミリーだとされています。なんと細菌まで遡れるという報告もあります(10、11)。

図163-2 ヘッジホッグ遺伝子進化の系譜

ヘッジホッグシグナルの伝達経路はロハジやジョンらの研究によって大筋が明らかになりました(12-14、図163-3)。ヘッジホッグ分泌細胞によって合成されたヘッジホッグはペプチダーゼドメインを持っていて、自己切断によってシグナルドメインが切り離されます(14)。シグナルドメインのN末をパルミトイル化、C末をコレステロール化してリガンドとしての形をととのえ、膜タンパク質の Dispatched によって細胞外に放出されます。

ヘッジホッグリガンドは標的細胞の膜12回貫通タンパク質である Patched 受容体に結合し、この受容体による Smoothened (SMO、膜7回貫通タンパク質) の抑制がはずれてSMOが活性化し、その結果転写因子 Ci/Gli が分解を免れ、完全な形で機能して標的細胞の転写を活性化するというメカニズムが報告されています(5、12-15)。Patched による抑制が外れるとSMOはダイマー化するようです(15)。SMOはGタンパク質共役受容体(GPCR)なので、これだけではなく、より複雑なかかわりをしていることが予想されます(16)。ソニックヘッジホッグ(shh)は中枢神経の誘導のみならず、脳神経系においてさまざまな働きをしています(17)。

図163-3 ヘッジホッグシグナルのメカニズム

ヘッジホッグリガンドが形成されるまでのプロセスはほぼ解明されています。図163-4にソニックヘッジホッグの前駆体がリガンドになるまでの概要とパルミトイル化の反応、図163-5に自己切断とコレステロール化の反応について示しました。

図163-4 ヘッジホッグタンパク質のプロセッシング、N末の修飾

図163-5 ヘッジホッグタンパク質のプロセッシング、C末の修飾

ヘッジホッグ前駆体はまずシグナルペプチダーゼによってN末側の一部が削られ、さらに前駆体自身のC末ドメインによってセルフプロセッシングが図163-4のように行われ、C末側が切り離されると共に、新しいC末にコレステロールが付加されます。N末側はヘッジホッグアセチルトランスフェラーゼによってパルミトイル化されます(図163-5)。このようなプロセスを経てリガンドとして成熟します(14、18)。

ソニックヘッジホッグとは奇妙な名前です。セガメガドライブのゲームに Sonic the hedgehog というのがあるらしいですが、この因子の研究者である Robert Riddle が好きだったようで、そう名付けたようです(19、20)。デザートヘッジホッグとインディアンヘッジホッグは、そのような名前のハリネズミが実際に存在していて、そこから命名されました。 ソニックヘッジホッグの場合KOマウスは胎生9.5日で死亡しますが、デザートヘッジホッグのKOマウスは生き残ります。ただし生殖器や精子の形成がうまくいかないようです。またインディアンヘッジホッグのKOマウスは約半数が出産時まで生き残りますが、その後呼吸器官の欠陥のためにすべて死亡します(21)。

ウィキペディアのヘッジホッグの写真がとても可愛いので、図163-6にコピペしました。

図163-6 3種のヘッジホッグ 名前の由来

ハリネズミはセンザンコウなどと違って、毛がすべて別物に置き換わったのではなく、針以外の普通の毛も持っています。体毛以外に感覚毛(ひげ)も見えます。この写真ではデザートヘッジホッグは白ひげで、インディアンヘッジホッグは黒ひげです。余談ですが、ニシナサチコ著「ハリネズミ・トントが教えてくれたこと」(KKベストセラーズ)を読むと、ハリネズミがどんな動物かよくわかります。

 

参照

1)The Nobel Prize in Physiology or Medicine 1995 NobelPrize.org.
9 October 1995 Press Release
https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/1995/summary/

2)Wikipedia:Edward B. Lewis
https://simple.wikipedia.org/wiki/Edward_B._Lewis
https://en.wikipedia.org/wiki/Edward_B._Lewis

3)Christiane Niisslein-Volhard & Eric Wieschaus, Mutations affecting segment number and polarity in Drosophila., Nature vol.287 pp.795-801, (1980)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6776413/
http://dosequis.colorado.edu/Courses/MethodsLogic/papers/NussleinVolhardWieschaus1980.pdf
http://dosequis.colorado.edu/Courses/MethodsLogic/Docs/VolhardWieschaus.pdf

4)Krauss, S., Concordet, J.P., & Ingham, P.W. (1993).
A functionally conserved homolog of the Drosophila segment polarity gene hh is expressed in tissues with polarizing activity in zebrafish embryos. Cell, 75(7), 1431-44.

5)ウィキペディア:ヘッジホッグシグナル伝達経路
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%83%E3%82%B8%E3%83%9B%E3%83%83%E3%82%B0%E3%82%B7%E3%82%B0%E3%83%8A%E3%83%AB%E4%BC%9D%E9%81%94%E7%B5%8C%E8%B7%AF

6)Philip W. Ingham, and Andrew P. McMahon, Hedgehog signaling in animal development: paradigms and principles., Genes & Dev., vol.15: pp.3059-3087 (2001) doi: 10.1101/gad.938601
http://genesdev.cshlp.org/content/15/23/3059.long

7)Shigenobu Yazawa, Yoshihiko Umesono, Tetsutaro Hayashi, Hiroshi Tarui, and Kiyokazu Agata, Planarian Hedgehog/Patched establishes anterior–posterior polarity by regulating Wnt signaling., Proc Natl Acad Sci USA, vol.106 no.52 pp.22329 –22334 (2009)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2799762/

8)David Q. Matus, Craig Magie, Kevin Pang, Mark Q Martindale, and Gerald H. Thomsen, The Hedgehog gene family of the cnidarian, Nematostella vectensis, and implications for understanding metazoan Hedgehog pathway evolution., Dev Biol, vol.313(2): pp.501–518 (2008)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2288667/

9) Philip W. Ingham, Yoshiro Nakano, and Claudia Seger, Mechanisms and functions of Hedgehog signalling across the metazoa., Nature Reviews, Genetics, vol.12, pp.393-406 (2011)
https://www.academia.edu/13366145/Mechanisms_and_functions_of_Hedgehog_signalling_across_the_metazoa

10)Hausmann G, von Mering C, Basler K., The Hedgehog Signaling Pathway: Where Did It Come From? PLoS Biol 7(6): e1000146.
https://doi.org/10.1371/journal.pbio.1000146

11)Henk Roelink, Sonic Hedgehog Is a Member of the Hh/DD-Peptidase Family That Spans the Eukaryotic and Bacterial Domains of Life., J. Dev. Biol. vol.6, pp.12-23. (2018) doi:10.3390/jdb6020012

12)Rajat Rohatgi and Matthew P Scott., Patching the gaps in Hedgehog signalling.,
Nat Cell Biol vol.9(9): pp.1005-1009. (2007) doi: 10.1038/ncb435.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17762891/

13)Rajat Rohatgi, Ljiljana Milenkovic, Ryan B Corcoran, Matthew P Scott., Hedgehog signal transduction by Smoothened: pharmacologic evidence for a 2-step activation process.,
Proc Natl Acad Sci USA vol.106(9): pp.3196-3201.(2009) doi: 10.1073/pnas.0813373106.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19218434/

14)Juhee Jeong, Andrew P. McMahon, Cholesterol modification of Hedgehog family proteins., J Clin Invest. 2002;110(5):591-596. https://doi.org/10.1172/JCI16506.
https://www.jci.org/articles/view/16506/figure/1

15)Jie Zhang, Zulong Liu and Jianhang Jia., Mechanisms of Smoothened Regulation in Hedgehog Signaling., Cells, vol.10, 2138. (2021)
https://doi.org/10.3390/cells10082138

16)A. H. Polizio, P. Chinchilla, X. Chen, D. R. Manning, N. A. Riobo, Sonic Hedgehog Activates the GTPases Rac1 and RhoA in a Gli-Independent Manner Through Coupling of Smoothened to Gi Proteins. Sci. Signal., vol.4, pt7 (2011) DOI: 10.1126/scisignal.2002396
https://europepmc.org/article/PMC/5811764

17)脳科学辞典:ソニック・ヘッジホッグ
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%BD%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%83%E3%82%B8%E3%83%9B%E3%83%83%E3%82%B0

18)John A. Buglino and Marilyn D. Resh, Palmitoylation of Hedgehog Proteins., Vitam Horm. vol.88: pp.229–252. (2012) doi: 10.1016/B978-0-12-394622-5.00010-9
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4214369/

19)Wikipedia: Sonic hedgehog
https://en.wikipedia.org/wiki/Sonic_hedgehog

20)Sonic games
https://www.allsonicgames.net/
https://www.allsonicgames.net/sonic-the-hedgehog.php

21)Noriaki Sasai, Michinori Toriyama and Toru Kondo, Hedgehog Signal and Genetic
Disorders., frontiers in Genetics., Volume 10, Article 1103 (2019)
doi: 10.3389/fgene.2019.01103

 

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2021年11月 6日 (土)

西島三重子@ラドンナ原宿 2021/11/05

二年ぶりのライブです。今コロナ感染の谷間なのでチャンスです。原宿は人混みでしたが、最盛期に比べると7割くらいかなとは感じました。いつも満席のエグズンシングズにも空席がありました。さすがにコロナの後遺症はまだあって、ラドンナもいつもに比べると少なめの人数で、配信もやっていました。

ラドンナのエントランス(地下へ降りていく階段)は実に素晴らしい雰囲気です。

西島さん本人撮影のはがきを頂きました。猫フェチのみーちゃんだけあって、めずらしい構図です。

本人もほとんど全曲ギターを弾いていましたが、サポートは平野融さん(G)。「青春のシュプレヒコール」からはじまってかなりたくさん歌いました。セトリはアップ不能ですが、配信ではリストが出ているそうです。

https://www.facebook.com/mieko.nishijima

個人的には「陽ざかりの午後」、「Imagination Canvas」(「筆を」の歌詞が脱落 びっくり)、「泣かないわ」などがフェイバリット。昭和の至宝と呼ぶにふさわしい楽曲です。

 

 

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2021年11月 3日 (水)

新型コロナ感染症への対応 ワースト10

(厚生労働省資料の一部をグラフ化したもの)

新型コロナ感染症に対する対応は、維新治世の大阪府がダントツワーストです。

しかし大阪は総選挙で維新が完全制覇しました。

 

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2021年11月 2日 (火)

マスコミ各社はなぜこんなおかしなことが起こったか調査すべきです


マスコミ各社 出口調査の結果

日テレ(NNN) 自民 238 立民 114
テレ朝(ANN) 自民 243 立民 113
TBS(JNN)  自民 239 立民 115
テレ東(TXN) 自民 240 立民 110
フジ(FNN)  自民 230 立民 130
NHK  自民 212~253 立民 99~141

集計結果  自民 261 立民 96

もしこの調査の精度が一般に悪くてはずしても当たり前なら、どれもが自民を少なめに、立民を多めにみつもるはずはなく、ランダムにはずれるはずです。みんな同じ方向にはずれるというのはあり得ないおかしな話です。

右翼系のフジテレビが一番外しているので、自民支持者がマスコミを忌避して非協力だったという解釈はあてはまりません。彼らはフジテレビには協力的なはずなので、フジ系が自民を低くみつもってしまうということはあり得ません。

NHKは批判を恐れて非常に広い変動幅をとっていますが、そんなだだ広の範囲にも結果はひっかかっていません。これをどう説明するのでしょうか?

答えはひとつ、集計が不正に行われたと考えるしかありません。

 

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FCバルセロナは生き残れるのか?

バルサは今最大の危機に瀕しています。なんとレギュラーメンバーのうち9人が病気やケガで試合に出られません。

欠場者リスト

FW:セルヒオ・アグエロ、アンス・ファティ、マルティン・ブライトバイテ、ウスマン・デンベレ

MF:フレンキー・デ・ヨング、セルジ・ロベルト、ペドリ

DF:ロナルド・アラウホ、ジェラール・ピケ

水曜日のディナモ・キエフ戦は、あり得ないメンバーで戦わなければなりません。
フォルサ・バルサ⚽

ニーチェはツァラトゥストラに次のような言葉を語らせています

「深い黄、熱い赤、わが趣味はそれを欲する-すべての色に血をまぜることを。自分の家を白く上塗りにするものは、その魂も白く上塗りしているに違いない」
(「ツァラトゥストラはかく語りき」 ニーチェ著 佐々木中訳 河出文庫より)

カタルーニャの旗

 

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2021年10月30日 (土)

小泉ー都響 ドヴォルザーク交響曲第8番@サントリーホール 2021/10/30

今日は快晴で寒すぎずコンサート日和です。さすがコンマスの山本さん。晴れ男ですねえ。指揮者は小泉さん。彼は大植さんの代役でチャイコフスキーの悲愴交響曲を振った頃から何かふっきれたようにすごい指揮をするようななったと思います。すごいと言っても逆にシンプルに徹しているようなベクトルだと感じます。それが団員のナーバスな雰囲気を一掃して血が通ったのかな?

サイドはゆづきさん。彼女のツイッターをみると弦のフォアシュピーラーが集まって打ち合わせをしている写真が掲載されています。こういう雰囲気が都響のよさを生み出しているんですね。
https://twitter.com/YUZUKI79403436/status/1454375358082400256

まだコロナは警戒していて、A・B・P席の最前列は空席、Sの両サイドも空けていたかのかもしれません。満席の半分くらいのお客でした。本日のソリストは若手のホープ佐藤さん。お馴染みのドボコンですが、落ち着いた演奏なのに巨匠風ではなく、隅々まで丁寧にやっていたように思いました。素晴らしいのひとことです。

後半のドヴォルザーク交響曲第8番は小泉さんの18番じゃないかな。都響も弦の厚みが感じられる素晴らしい響き。管も思う存分躍動していましたが、柳原はちょっとやりすぎ。寺本さんが退団して張り切っているのはわかりますが、フルートはやりすぎると簡単に全体のバランスが壊れるので、より軽やかで上品な演奏を期待します。

今日はカメラが複数台入って録画していました。おそらくMXテレビで放映されるのでしょう。それにふさわしい快演でした

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2021年10月29日 (金)

続・生物学茶話162:半索動物における神経誘導

半索動物というマイナーな門の生物がいます。これはギボシムシ類とフサカツギ類の2つのグループからなっています。私はギボシムシは三崎の臨海実験所で一度見せてもらったことがありますが(多分水族館でも見られると思います)、フサカツギは一度も見たことがありません。ギボシムシは特に珍しいわけではなく、泥の中を動き回り無選別にまるまる泥ごと飲み込んで、その中の有機物を栄養とするという生き方なので大量のうんちを海底に残すことになり、これであたりにいるかどうかがすぐわかります(1)。泥は栄養価が低いので消化管を長くした方が生存に有利であると思われ、中には体長2メートルを超えるものもあるようです(2)。図162-1の個体は体長が書いてありませんでしたが(ウィキメディアコモンズ)、体幹部が長くないので小さめの種類だと思います。体表の殺菌のためにブロモフェノールを排出するので、食用にはならないと思います。もうひとつのグループ、フサカツギは固着生活を選んだせいか、数ミリ程度の体長の目立たない生物です(3)。こちらは生物学者でも見たことのある人は少ないでしょう。私も見たことがありません。

後口動物はにぎやかな分類表の前口動物と比べると、比較にならないくらいこじんまりした分類表で門は3つしかありません(図162-1)。半索動物はそのうちのひとつです。私たちが所属する脊索動物門とウニやヒトデが所属する棘皮動物門が残りの2つです。ここで棘皮動物というのはあまりにも私たちと違いすぎる感じがします。彼らは5放射相称で、本来前口動物・後口動物の祖先である左右相称動物とはかけはなれた形態を持ち、前後の概念はなく、発達した脳や中枢神経系もありません(4)。しかしそれは特殊化や退化の結果であり、彼らも私たちと同じ後口動物であり、発生の途中までは私たちと似たようなボディープランを持っていたことは確かです(5、6)。生物の基本的な形態を決めるHox遺伝子群の並びが非常によく似ていることなどから、彼らは左右相称のギボシムシと近縁な生物であることが判明しています(6)。つまり棘皮動物はHox遺伝子をいじることなく、別の遺伝子による修飾的変異によって5放射相称という独自の体型を獲得しました。

図162-1 ギボシムシの形態と分類学上の位置

(写真はウィキペディアより)

ギボシムシについて何か記事を書こうと思いついたのは後述の宮本教生博士の研究を知ってからで、それでまずギボシムシの中枢神経系を調べてみたら驚きました。なんとギボシムシは背側と腹側の両方に中枢神経系があるのです(7)。図162-2のように中枢神経系は前口動物では腹側にあり、後口動物では背側にあるというのがおきまりのボディープランであり、両側にあるというのはギボシムシだけでしょう。

クラゲのように海をただようとかヒドラのように固着する生活では、発達した中枢神経系は不要だったのですが、海底を歩くには運動器官の統合的な動作が必要となるため、中枢神経系が運動器官がある体の腹側に形成されたのは必然と言えます。前口動物から突然変異によって生まれた奇形であった後口動物は(これには後述のように疑問がありますが)、海底を歩くのではなく、積極的に泳ぐという魚類によって圧倒的な繁栄をなしとげましたが、中には別のやり方で生き延びたグループもいたわけです。

以前は半索動物は脊索動物と最も近い門とされていましたが、前述のように遺伝子の比較が進み、半索動物は棘皮動物と近縁であることがわかっています。ですからギボシムシの腹側神経が退化して脊索動物が生まれたわけではなく、脊索動物は前口動物の祖先のある者が背腹軸を逆転させて生まれたものであるというのが定説です(8)。ただそうは言っても、私は脊索動物の祖先が背腹両側に中枢神経系を持っていたということを完全に否定することはできないと思います。背腹逆転が起こったとして、そのミュータントが生き延びる可能性はほぼゼロでしょう。このようなドラスティックな変化をなしとげるためには中間的なステップが必要じゃないかというのは常識的な考えです。腹側神経系は前口動物と同様に中胚葉の軟組織に誘導されて存在し、それにプラスして何らかの方法で背側にも発達した神経系を持つようになったグループが複数出現したのではないでしょうか? 両側に発達した神経系があれば、背復逆転というようなドラスティックな変異が起きたとしても生き延びられる可能性は格段に高くなると思います。

ギボシムシは海底を移動する生物ですが、体中に生えている細かい突起を動かして移動します。泥の中を移動するので、上下(背腹)の概念はあまりなく、口がある方が下としていますが、彼らにしてみればどうでもよいことです。背腹両側に中枢神経があるので、消化管と中枢神経がクロスするのが前口動物、しないのが後口動物という定義はあてはまりません(図162-2)。彼らは運動器官を全身に持っていて、これらを協調して動作させないとうまく動けないので、背腹の両側に中枢神経があるのは合目的的です。

宮本らが発見したのは、ギボシムシの消化管の一部が分化した口盲管とそれに接続する襟背側消化管上皮(半索とよばれるもの)が発生において中枢神経を誘導するということです(7、9)。口盲管と襟背側消化管上皮の位置は図162-2に緑色で示しました。

図162-2 中枢神経系と消化管の位置

前口動物・後口動物を問わず、中枢神経系の誘導は中胚葉の仕事ということになっていますが、ギボシムシでは内胚葉性の口盲管と襟背側消化管上皮が誘導するというまれなメカニズムが宮本らによって報告されています(7、9、図162-3)。しかもこれらの組織にはコラーゲン(ColA)やヘッジホッグ(hh)という脊索に特徴的な遺伝子発現がみられるそうです。そしてヘッジホッグによる誘導情報を受け取るためのパッチト(ptc)遺伝子の発現が襟神経索にみられるということで、これはまさしく脊索による中枢神経の誘導に匹敵する現象と言えます(7、9、図162-3)。

このことは脊索と半索(口盲管)が関連性の希薄な器官だとしても、脊索動物と半索動物のはるか昔の共通祖先が、中枢神経を誘導するための共通の遺伝子セットとメカニズムを持っていたということで、なかなか興味深い知見だと思います。

図162-3 口盲管と消化管上皮による神経索の誘導

脊索動物では脊索という丈夫な結合組織系の構造が体の正中線に沿って頭部から尾部まで形成されます。これは脊索動物が進化の過程でいったん脚を捨てて、つまり海底を歩くという生き方を捨てて、泳いで移動するという行動様式を採用したことと深く関係があると思います。泳ぐためにはくねくねとした運動が必要で、丈夫な構造を中央正中線沿いにつくり、その左右に筋肉をつけて左右交互に収縮と弛緩を行うことによってそれは可能になります。そのためには左右の筋肉の協調が必要で、中枢神経による全身の筋肉の制御ができなくてはいけません。このような生き方を可能にするために、脊索が形成され、脊索によって中枢神経系が誘導されて全身の筋肉を制御できるような、いわゆる魚型の形態が完成されました。この形態をとる生物ははやくもカンブリア紀に出現しています(10、11)。

脊索動物の場合、図162-4に示されているように、中胚葉起源の脊索(notochord) はその背側の外胚葉を内側に陥入させ神経管を誘導します。陥入する部分の外胚葉を神経板といいます。陥入して神経管になる部分ととどまって表皮となる外胚葉の境界領域に神経堤 (neural crest) という特殊な領域が形成され、この部域は神経板が陥入するときに内部に巻き込まれますが神経管の一部とはならず別組織となります。この未分化な組織はその後分化してさまざまな組織を形成することになります。これについては別のセクションで述べたいと思います。

図162-4 脊椎動物における神経管の誘導

脊索は体の中心となる頑丈な組織なのですが、脊椎動物では中枢神経を保護するための脊椎が形成されるという形態に進化が起こりました。脊椎は脊索よりさらに頑丈な組織なので、脊索は中枢神経を誘導した後は無用の長物となり退化します。ナメクジウオは典型的な脊索動物で、脊索は頭部から尾部まで体全体に伸びており、成体になっても退化せずに残ります(12、図162-5)。ナメクジウオ類は頭索動物と呼ばれますが、頭索というのは脊索が頭部にもあるという意味です。この点は脊椎動物も同じです。

ホヤは一部を除いて幼生にだけ脊索がみられます。ただし頭部には脊索がありません(13、図162-5)。この意味でホヤ類は尾索動物と呼ばれています。尾索動物は成体が固着生活をおくるように進化したため、脊索や脊椎などの頑丈な組織は不要となり、その他の構造も特殊化して脊椎動物とは似ても似つかぬ体型になりました。そのため一見して頭索動物の方が脊椎動物に近縁なように見えますが、遺伝子の研究などによって頭索動物より尾索動物の方が脊椎動物と近縁であることがわかりました(14)。頭索動物には神経堤が認められず、尾索動物は神経堤の発達が頭索動物と脊椎動物の中間的であるということも判明しています(15)。

図162-5 頭索動物(成体)と尾索動物(幼生)の形態

画像はウィキペディアより。尾索動物の図の投稿者は Jon Houseman。

 

参照

1)ねっとで水族館 ワダツミギボシムシ Balanoglossus carnosus
http://www.aquamuseum.net/content/aquarium/nagamusi/gibosi-1.html

2)ウィキペディア:半索動物
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%8A%E7%B4%A2%E5%8B%95%E7%89%A9

3)並河洋 謎の動物 “フサカツギ” を求めて 国立科学博物館HP
https://www.kahaku.go.jp/research/researcher/my_research/zoology/namikawa/index_vol2.html

4)ウィキペディア:棘皮動物
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%98%E7%9A%AE%E5%8B%95%E7%89%A9

5)大平万里 食の研究所 昆虫よりもウニのほうがヒトに近い生物である理由
生物進化を食べる(第2話)棘皮動物篇 JBPRESS (2019)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56540?page=3

6)入江直樹・大森紹仁 左右対称から五放射の体を進化させた棘皮動物のゲノム解読
東京大学プレスリリース
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2020/6941/

7)宮本教生 海底に潜むムシから探る脊索動物の起源 生命誌ジャーナル 83巻 (2014)
https://www.brh.co.jp/publication/journal/083/research_1.html

8)生物学茶話@渋めのダージリンはいかが112: 背と腹
http://morph.way-nifty.com/lecture/2018/09/post-ec8a.html

9)Norio Miyamoto & Hiroshi Wada, Hemichordate neurulation and the originof the neural tube
, Nature communications (2013) DOI: 10.1038/ncomms3713

10)ウィキペディア:魚類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%9A%E9%A1%9E

11)ウィキペディア:ミロクンミンギア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%AD%E3%82%AF%E3%83%B3%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%82%A2

12)ウィキペディア:頭索動物
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%AD%E7%B4%A2%E5%8B%95%E7%89%A9

13)ウィキペディア:尾索動物
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BE%E7%B4%A2%E5%8B%95%E7%89%A9

14)ウィキペディア:脊椎動物
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%8A%E6%A4%8E%E5%8B%95%E7%89%A9#%E8%84%8A%E7%B4%A2%E5%8B%95%E7%89%A9%E3%81%AE%E7%89%B9%E5%BE%B4

15)Joshua R. York and David W. McCauley, The origin and evolution of vertebrate
neural crest cells., Open Biology vol.10, 190285 (2020)
http://dx.doi.org/10.1098/rsob.190285

 



 

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2021年10月27日 (水)

J-POP名曲徒然草216: 「誕生」 by ドリアン・ロロブリジーダ

ドリアンさんは2006年デビューだそうですが、お名前は最近知りました。ウィキペディアを見ると、ものすごく詳しい活動履歴などが書いてあってびっくりしました。CDは発見できませんでしたが、すごい歌手だと思います。「誕生」は中島みゆきさんの作品ですが、みゆきさんもドリアンさんの歌唱を聴いたらきっと気持ちいいと思います。

使って良さそうな画像がみつからなかったので・・・

誕生(中島みゆき)
https://www.youtube.com/watch?v=EmzmNjUQGBI

夜行(中島みゆき)
https://www.youtube.com/watch?v=oYulhnCWOWs

for you (高橋真梨子)
https://www.youtube.com/watch?v=6wsP-5SDJo8

再会(金子由香利)
https://www.youtube.com/watch?v=NM2S49NwzUg

Never Enough (Loren Allred)
https://www.youtube.com/watch?v=dY7_Yv3UkcM

ここで腰が抜ける(実はこれだけは形態模写です それを知って正気に戻る)

そして素顔のドリアンさんは早稲田大学中退の美男子でした ↓↓

ファイト(中島みゆき)
https://www.youtube.com/watch?v=nVbvkS6B-Xg

 

 

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2021年10月23日 (土)

まきちゃんぐxつるうちはな 天才x天才 @三軒茶屋GFM2021/10/23

自粛とか公演中止とかでずいぶんライヴもご無沙汰でした。

ちゃんぐさんも異常に気合いが入っているのがよくわかりました。

1.風が強い日の旗は美しい

2.2020

3.レディ・コイヌール

4.愛が消えないように

5.鋼の心

どの曲も素晴らしい弾き語りでした。

ここで10分の休憩

後半はシンガーソングライターのつるうちはなさんにピアノを弾いてもらうという贅沢なメニュー。

狂乱のピアニスト つるうちはな?

なんやそれ?

ほら たらことかいくらとか・・・

・・・・・それ魚卵や

 

いやほんとにすごいピアニストで、腕もしゃべくりも超一流(さらに料理の腕も達者で社長でもある)

注意が散漫になってセトリ間違っているかもしれませんが

6.ノラ

7.夢だもの(中島みゆきの曲)

8.ジンジャエールで乾杯

9.ハレルヤ(つるうちはなの曲)

10.海月

ノラとハレルヤ(泣きそう)が特に圧巻でした。

では また楽しみにしています

(画像はまきちゃんぐ公式ツイッターより)

まきちゃんぐ「夢だもの」
https://www.youtube.com/watch?v=hgpeMBRxbdU

つるうちはな「一緒にいようよ」
https://www.youtube.com/watch?v=HSA_AxEK3CQ

 

 

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2021年10月21日 (木)

ショパンコンペティション2021の優勝者はブルース・シャオユー・リュー

ショパンコンペティション2021の優勝者はブルース・シャオユー・リューという中国系カナダ国籍のピアニストに決定しました。ダン・タイ・ソンのお弟子さんだそうです。フランス生まれですが、ピアノの勉強はカナダでおこなった方だそうです。

BRUCE XIAOYU LIU(ブルース・シャオユー・リュー)
作為ではない身についた上品さ、高貴さ、が感じられるピアニストだと思いました。

https://www.asiamusicarts.com.tw/artists/xiaoyu-liu/

second round
https://www.youtube.com/watch?v=0ev9NzuZBlg

third round
https://www.youtube.com/watch?v=TQ0jPLuRGlk

final round
https://www.youtube.com/watch?v=UcOjKXIR8Iw

インスタグラム
https://www.instagram.com/bruceliupiano/

ファツィオーリのピアノはこれでまた人気が出るのでしょう。私は聴いたことがありませんが、豊洲シビックセンターにあるそうです。確かにスタインウェイやヤマハのピアノではこのような上品さは出せない感じがしました。

最終結果

第1位 Bruce (Xiaoyu) Liu, Canada ブルース(シャオユー)リウ(カナダ)
第2位 Kyohei Sorita, Japan 反田恭平(日本)
第2位 Alexander Gadjiev, Italy/Slovenia アレクサンダー・ガジェヴ(イタリア/スロベニア)
第3位 Martin Garcia Garcia, Spain マルティン・ガルシア・ガルシア(スペイン)
第4位 Aimi Kobayashi, Japan 小林愛実(日本)
第4位 Jakub Kuszlik, Poland ヤクブ・クーシュリック(ポーランド)
第5位 Leonora Armellini, Italy レオノーラ・アルメッリーニ(イタリア)
第6位 J J Jun Li Bui, Canada J J ジュン・リ・ブイ(カナダ)

追記: ショパンコンペティションについての報道ステーションの報道を今聴きました。なんと反田さんが2位になったことを報道し、インタビューもしていました。ところが小林さんについては完全無視でした。そして驚くべきことに1位の氏名すら報道しないのにはあきれました。

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2021年10月20日 (水)

続・生物学茶話161:グリア細胞 その2 種類

グリアまたはニューログリアという言葉は19世紀プロイセンの病理学者ルドルフ・フィルヒョウが流布させたものですが、現在でも神経組織における神経細胞以外のすべての細胞という意味で使われています。つまり様々なタイプの細胞を便宜的にまとめた言葉です。とはいえ脳の毛細血管はグリアではないので、厳密な定義とは言えません。アレクセイ・ヴェルクラツキらは「Neuroglia can be defined as homeostatic and defensive cells of the nervous system」と定義しています(1)。これは例えばクラゲの神経細胞をサポートする細胞があることがわかった場合にも、グリア細胞と呼べるという利点がありますが、神経組織が損傷を受けた場合に集まってくる非グリア系マクロファージはどうするんだという欠点もあります。

ヴェルクラツキら(1)によると、最初にニューログリアを代表する細胞であるアストログリア細胞を定義したのは Michel von Lenhossek で、1895年のことだったとされています(1)。論文が引用されていなかったので少し調べてみましたが、Michel von Lenhossek は Mihaly Lenhossek という名前で呼ばれることもあり、nerve growth cone の発見者です(2)。アストログリアの件はおそらく文献(3)に掲載されていると思われますが、確認できませんでした。

脳科学辞典によるグリア細胞の分類は

1.アストロサイト

2.オリゴデンドロサイト

3.ミクログリア

という極めてあっさりとしたものですが(4)、ウィキペディアをみると

CNS:Astrocyte, Oligodendrocyte, Ependymal cells, Radial glia, Pituicytes, Tanycytes
PNS:Schwann cells, Satellite cells, Enteric glial cells

となっています(5)。

ウィキペディアの模式図には中枢神経系をサポートする4種のグリア細胞が描かれています(5、図161-1)。4種とは脳室に面した上皮の ependymal cell(上衣細胞)、astrocyte(星状膠細胞)、ologodendrocyte(希突起膠細胞)、microglial cell(小膠細胞)のことです。

図161-1  脳の基本構造(模式図)
模式図はウィキペディアより 茶色で名前が書いてあるのがグリア細胞

ラゴ=バルダイアら3人の女性研究者が共著でタイトル「More Than Mortar: Glia as Architects of Nervous System Development and Disease 」という総説を書いています(6)。これはモルタルを越えてという意味で、古くはグリアはモルタルと同じで細胞と細胞をくっつける役割とされていたことを示しています。彼らはグリア細胞を8つのグループに分けました。それはアストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリア、シュワン細胞、血液-脳関門、中枢と末梢の移行領域のグリア、組織密着性グリア、ラジアルグリアとなっています(6)。

彼女らの総説の図1はそのままコピーしたいくらい適切なイラストと適切なレジェンドで構成されており、特にC・エレガンス、ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ、齧歯類、ヒトで名称を比較整理してあるのが便利です。たとえばショウジョウバエで Astrocytesの一部、 Ensheathing gliaの一部、Cortex glia とされているものが実は私たちのミクログリアに相当するものであることが示されています(6)。

とはいえここでは細かい点につっこむのは避けて、とりあえずアストロサイトからはじめましょう。アストロサイトとはギリシャ語で星のような細胞という意味です。ちなみにアストロバイオロジーとは宇宙生物学の意味になります。図161-2に様々な方法で染色・撮影されたアストロサイトが示されています。AとBはGFAPという線維性タンパク質(中間径フィラメントを構成)の抗体を使って染色したものです。アストロサイトを特異的に染色するためによく使われる方法です。Aは培養液中でのんびりしている細胞、Bは脳に損傷を与えて活発に活動している細胞です。後者では細胞の一部がまるで軸索のように伸びていることがわかります。

Cはエール大学の教育用資料で、どのような方法で作製した標本なのかは記載してありませんでしたが、多くの棘を出していてウニのような写真です(7)。ただGFAPは中間径繊維を構成しているので、細胞骨格が目立つトゲトゲの形態にみえている可能性があり、たとえば電子顕微鏡でみると全く違ったイメージになります(4、図161-2D 左右の眼で別々に見ると立体的に見える)。最近ではアストロサイトはトゲトゲの星形細胞ではなく、棘の周辺に膨らみをを持ち(膜状仮足=ラメリポディア)、かつこのような非常に複雑でアモルファスな構造の細胞であるとされています(6)。

図161-2 アストロサイト
AとBはウィキメディアコモンズより(投稿者は Dantecat)、Cはエール大学の教育用資料、Dは脳科学辞典より(投稿者は濱清)

アストロサイトの機能としては、1)構造的に脆弱なニューロンのネットワークを物理的に支持する、 2)シナプス前細胞、シナプス後細胞、アストロサイトが神経伝達物質の回収と供給を通じて三位一体のユニットとしてシナプスの機能を担う、3)ニューロン外部のカリウムイオン濃度を調節する、4)グリコーゲンを合成して貯蔵する、5)オリゴデンドロサイトの髄鞘形成作用を増進する などが報告されています(8)。一方で1990年にコーネル=ベルらがGタンパク質共役型グルタミン酸受容体を刺激すると、アストロサイトのカルシウム濃度が上昇することを発見してから、この細胞がニューロンまがいの情報伝達をおこなっていることが示唆されています(9、10)。これは代謝活性型グルタミン酸受容体 mGluR5 がアストロサイトに発現しているためですが、ウェイ・サンらはこのような現象はマウスでは生後3週間までで、成体ではこの受容体は激減し、同じ代謝活性型受容体ですが mGluR3 がメインになることを報告しています(11)。新生仔と成体ではアストロサイトの機能が多少異なるのかもしれません。

上記の2)の機能を最初に示唆したのはノレンバーグとマルティネス=ヘルナンデスで、彼らはグルタミン酸をグルタミンに変換する酵素がアストロサイトに局在することを指摘しました。これはニューロンが遊離したグルタミン酸をアストロサイトが取り込み、グルタミンに変換して貯蔵しておく役割を果たしていることを示唆しています(12)。

さて次はオリゴデンドロサイトですが、これらの細胞の発見に関わった人々の中で最も重要な貢献をした3人の肖像をウィキペディアから転写しておきます(図161-3)。

図161-3 オリゴデンドロサイトの発見者達
写真はウィキペディアより ただしテオドール・シュワンの肖像はフォン・ルドルフ・ホフマン1857年制作のリトグラフ

テオドール・シュワンはどんな生物学の教科書にも記載されている細胞説を唱えた有名人ですが、シュワン細胞あるいはシュワン鞘という名前も残されています。シュワンが発見したこの細胞は、現在ではオリゴデンドロサイトの末梢タイプであることがわかっています(13)。

リオ=オルテガはラモン・イ・カハールの研究室で炭酸銀染色という手法を使って脳組織を染色し、アストロサイト以外のグリア細胞の分類を行ってオリゴデンドロサイトの存在を主張しましたが、ラモン・イ・カハールはこれを認めず、破門されてしまいました。しかし彼はペンフィールドらの協力を得て研究を辛抱強く継続し、最後にはラモン・イ・カハールとも和解しました(14~16)。オルテガは仕事が認められて、さあ順調にキャリアを積もうというときにスペイン市民戦争が勃発し、流浪の生活を強いられることになりました。結局オックスフォードやブエノスアイレスに移住して仕事を続け、キャリアを終えることになりました(14)。一方ペンフィールドはモントリオールで、ヒト大脳の一次運動野と一次体性感覚野のホムンクルスを作成するなど脳神経科学に多大な貢献をしただけでなく、脳外科分野でもめざましい成果をあげました(17)。

リーダーズ英和辞典で調べると、dendro- というのは樹木という意味だそうです。オリゴデンドロとはおそらく樹木の枝が少ないという意味でしょうから、オリゴデンドロサイトを日本語で希突起膠細胞と訳したのでしょう。実際通常のHE染色組織切片では図161-4Aのように丸い細胞に見えます。しかし免疫染色で染めると図161-4Bあるいは4Cのように長い枝を出していることがわかります。これはオリゴデンドロサイトが神経細胞の軸索をカバーしているからに他なりません(18-20)。脳科学辞典によると脳のオリゴデンドロサイトはひとつの細胞が40~50本の軸索にミエリンを形成し、平均して15の突起を伸ばしているそうで、これではオリゴじゃないので細胞の名前を変えた方が良いようです(21)。

図161-4 オリゴデンドロサイトの形態
写真はすべてウィキメディアコモンズより Aはヒトのオートプシー資料より得た切片をHE染色したもの(投稿者 Jensflorian) Bは Rip 抗体によるマウス脳の免疫染色(グリーン オリゴデンドロサイトを染色)とヘキスト33342による染色(ブルー すべての細胞が染まる)(投稿者 Oleg Tsupukov)、Cはラット小脳のミエリン塩基性タンパク質の免疫染色(レッド)とDNAの染色(ブルー)(投稿者 Gerry Shaw)

アストロサイトは神経細胞を普通に包むだけですが、オリゴデンドロサイトは薄くなった細胞でぐるぐる巻きにして、いわゆるミエリン化することができます(図161-5)。オリゴデンドロサイトは末梢では通常複数の細胞でひとつの軸索を巻いている場合が多くシュワン細胞と呼ばれています。しかし中枢では前記のように、あるいは右上のイラストのように(図161-5)ひとつの細胞で多数の軸索をカバーしています。

軸索を包むオリゴデンドロサイトが形成するこの年輪のような多層構造はミエリン鞘またはシュワン鞘とよばれ、ここには細胞膜の主要な成分のひとつであるコレステロールが多量に集積されます。コレステロールには絶縁作用があり、これによって軸索を物理的に保護するだけでなく、絶縁性を高めて漏電を阻止し、神経伝達を高速化する効果があります(13、22)。

図161-5 ミエリン鞘の形成
ウィキメディアコモンズより 上のイラストの投稿者はCFCF、下左のイラストの投稿者は Ralph Walterberg、下右の電子顕微鏡写真の投稿者は Roadnottaken

メジャーなグリア細胞3種の最後はミクログリアですが、最初にこの細胞を記載したのはニッスル小体で有名なフランツ・ニッスル(図161-6)で、19世紀末のことだとされています。彼はニッスル染色で神経組織を研究しているときに新細胞を発見し rod cells (Stabchenzellen) と呼んでいました(23)。ミクログリアという名前をこの細胞に与え、最初に詳細な研究を行ったのはリオ=オルテガのようですが(24)、この文献はウェブでは読めそうもありません。興味のある方はリザイが調査して小論をウェブにアップしているので、そちらをご覧ください(25)。

ミクログリアは脳虚血性発作などで神経組織が損傷を受けたような場合、図161-6右上図のようにまわりから集まってきて当該部位の修復を行います。このような細胞の行動をみると、この細胞がマクロファージ/モノサイト系であることは容易に想像できて、19世紀からそう考えられていたのですが、なかなかきちんと証明することは困難で、この系統の細胞に特異的な抗体の開発をはじめとして(図161-6下の2枚の図など)ようやく20世紀末頃から研究が進み、現在ではミクログリア細胞が血液幹細胞オリジンのマクロファージ/モノサイト系の細胞であることが明らかになっています(26-30)。

ウィキメディアコモンズより 上の写真 ラット大脳皮質において実験的に虚血部位を作成し、ミクログリア細胞がその位置に集合してくる様子を撮影 (投稿者 Mary Antipova) 下左 レクチン染色(茶色)にポジティヴなのがミクログリア細胞 (投稿者 Grzegorz Wicher) 下右 ラット脳細胞の混合培養をコロニン1a 抗体でミクログリア細胞を赤く染めた 緑色に染まっているのはアルファ-インターネキシンを染めたものでニューロン (投稿者 Gerry Shaw)

ジンホユー(図161-7)らの研究によって、胎生期のミクログリアは卵黄嚢の前駆細胞が脳に移転することによって形成されることがあきらかになりました。また彼らは移転した細胞は成体になっても機能するとしています(23、31)。しかし卵黄嚢由来の細胞だけでミクログリアが形成されるわけではなく、発生のステージにともなって順次血液で脳に前駆細胞が運ばれてきます。胎仔に肝臓が形成されるとミクログリアの前駆細胞は胎仔肝で形成され、成体では骨髄で形成されます(ただし成体の場合は主として炎症・変性・慢性ストレスなどの病的状態が発生した場合に限られるようです)。これらがミクログリアのソースとなっています。すなわちミクログリアのオリジンは血液幹細胞由来のマクロファージ/モノサイト系の細胞であることが明らかになりました(図161-7)。血液幹細胞は中胚葉由来ですから、ミクログリアはニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトなどの外胚葉由来の細胞とは全く異なる系統の細胞です。

図161-7 ミクログリアの発生的起源
ジンホユー博士の写真は大阪大学のサイトより マウスの写真はウィキメディアコモンズより その他は自作のイラスト Eは胎生E日を示す

中枢神経系のミクログリアは神経細胞に異常が見つかると、突起を伸ばしたり移動したりして接近し、病原体を排除したり、老廃物を吸収したり、死細胞を貪食によって取り除くという作業を行います。この他にもシナプスを無効化したり、各種サイトカインを放出したりなど様々な機能を担っています(30)。

ここまでメジャーなグリア細胞3種について述べてきましたが、それ以外のグリア細胞についても少しだけ言及しておきます。

まず上衣細胞(Ependymal cells)ですが、これは脳室の壁を構成する上皮細胞です。繊毛を持ち脳脊髄液流を引き起こすという機能の他、脳脊髄液と神経細胞などとの物質移動や老廃物廃棄の役割を担っていると考えられていますが、まだ未知の機能もありそうです(32)。放射状グリア細胞(radial glial cell)は実際には神経幹細胞で、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ニューロンなどを細胞分裂によって生成します(33)。後葉細胞(Pituicytes)は脳下垂体後葉に存在するグリア細胞で、後葉におけるホルモンの分泌調節に関与していると考えられています(34)。Tanycyte は上衣細胞の一種と考えられていますが、その機能はまだよくわかっていません。衛星細胞は筋肉にも同じ名前の細胞がありますが、それとは別で、ここで言う衛星細胞は神経節にあって神経細胞体を取り巻いている細胞です。腸グリア細胞(Enteric glial cells)は腸周辺の神経細胞をサポートしている細胞です(35)。

参照

1)Alexei Verkhratsky, Margaret S. Ho, Robert Zorec, Vladimir Parpura, The Concept of Neuroglia., Adv Exp Med Biol., vol.1175: pp.1-13. (2019)
doi:10.1007/978-981-13-9913-8_1.

2)Frank W. Stahnisch, Andrew G. M. Bulloch, Mihaly (Michael von) Lenhossek (1863-1937), J Neurol vol.258: pp.1901-1903 (2011)
doi: 10.1007/s00415-011-6035-8

3)Lenhossek M (1895) Der feinere Bau des Nervensystems im Lichte neuester Forschungen (2nd rev. Ed.), Kornfeld, Berlin

4)脳科学辞典:グリア細胞
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%A2%E7%B4%B0%E8%83%9E

5)Wikipedia: Glia
https://en.wikipedia.org/wiki/Glia

6)Inês Lago-Baldaia, Vilaiwan M. Fernandes and Sarah D. Ackerman, More Than Mortar: Glia as Architectsof Nervous System Development and Disease., Frontiers in Cell and Developmental Biology, Volume 8, Article 611269, (2020) doi: 10.3389/fcell.2020.611269
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcell.2020.611269/full

7)http://medcell.med.yale.edu/histology/nervous_system_lab/microglia_and_astrocytes.php

8)ウィキペディア:アストロサイト
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88

9)A H Cornell-Bell, S M Finkbeiner, M S Cooper, S J Smith, Glutamate induces calcium waves in cultured astrocytes: long-range glial signaling.
Science, vol.247(4941): pp.470-473. (1990) doi: 10.1126/science.1967852
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1967852/

10)工藤佳久著 「脳とグリア細胞」 技術評論社 2011年刊

11)Wei Sun et al., Glutamate-Dependent Neuroglial Calcium Signaling Differs Between Young and Adult Brain., Science., vol.339(6116): pp.197–200. (2013) doi: 10.1126/science.1226740
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3569008/

12)M D Norenberg, A Martinez-Hernandez, Fine structural localization of glutamine synthetase in astrocytes of rat brain., Brain Res., vol.161(2): pp.303-310.(1979) doi: 10.1016/0006-8993(79)90071-4.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31966/

13)ウィキペディア:髄鞘
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%84%E9%9E%98

14)Fernando Pérez-Cerdá, María Victoria Sánchez-Gómez and Carlos Matute, Pío del Río Hortega and the discovery of the oligodendrocytes., Frontiers in neuroanatomy, vol.9, article 92., (2015) doi: 10.3389/fnana.2015.00092

15)Penfield, W., Oligodendrogliaanditsrelationtoclassicalneuroglia. Brain
vol.47, pp.430–452. (1924) doi:10.1093/brain/47.4.430

16)Gill, A.S. and Binder,D.K., Wilder Penfield, Pío del Río-Hortega and the
discovery of oligodendroglia. Neurosurgery vol.60, pp.940–948, (2007) doi:10.1227/01.neu.
0000255448.97730.34

17)脳科学辞典:ワイルダー・グレイヴス・ペンフィールド
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89

18)Wikimedia commons: Oligodendrocyte
https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Oligodendrocytes

19)Wikipedia: Oligodendrocyte
https://en.wikipedia.org/wiki/Oligodendrocyte

20) Wikimedia Commons:Oligodendrocyte HE stain high mag.jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Oligodendrocyte_HE_stain_high_mag.jpg

21)脳科学辞典:オリゴデンドロサイト
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B4%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AD%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88

22)ウィキペディア:コレステロール
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB

23)Florent Ginhoux, Shawn Lim, Guillaume Hoeffel, Donovan Low and Tara Huber, Origin and defferentiation of microglia., Frontiers in Cellular Neuroscience, vol.7 article 45 (2013), doi: 10.3389/fncel.2013.00045

24)Rio-Hortega,D., “Microglia,” in Cytology and Cellular Pathology of the Nervou sSystem, Vol.2, ed W.Penfield, (NewYork, NY: P.B. Hoeber,Inc.), pp.482–534. (1932).

25)Payam Rezaie, Mesoglia and Microglia, Evernote Web (2012)
https://ibro.org/wp-content/uploads/2018/07/Mesoglia-and-Microglia.pdf

26)W F Hickey, and H Kimura, Perivascular microglial cells of the CNS are bone marrow-derived and present antigen in vivo., Science. vol.239(4837): pp.290-292. (1988)
doi: 10.1126/science.3276004

27)Hitoshi Honda, Hiromitsu Kimura, Willys K.Silvers, Abdolmohammad Rostami, Perivascular location and phenotypic heterogeneity of microglial cells in the rat brain., Journal of Neuroimmunology, col.29, pp.183-191 (1990) https://doi.org/10.1016/0165-5728(90)90161-F
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/016557289090161F

28)Nico van Rooijen, William F Hickey, Geoff Preidisa, Violeta McGaughya, Hematogenous macrophages express CD8 and distribute to regions of lesion cavitation after spinal cord injury., Experimental Neurology vol.182, issue 2, pp.275-287 (2003) https://doi.org/10.1016/S0014-4886(03)00120-1
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0014488603001201

29)Rezaie P., Microglia in the human nervous system during development. Neuroembryology vol.2: pp.18-31. (2003) https://doi.org/10.1159/000068498
http://oro.open.ac.uk/2607/

30)脳科学辞典:ミクログリア
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%A2

31)Morgane S Thion, Florent Ginhoux, Sonia Garel, Microglia and early brain development: An intimate journey, Science vol.362(6411): pp.185-189. (2018) doi: 10.1126/science.aat0474
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30309946/

32)脳科学辞典:上衣細胞
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E4%B8%8A%E8%A1%A3%E7%B4%B0%E8%83%9E

33)脳科学辞典:放射状グリア細胞
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%8A%B6%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%A2%E7%B4%B0%E8%83%9E

34)Wikipedia: Pituicytes
https://en.wikipedia.org/wiki/Pituicyte

35)Kristine Novak, What do enteric glial cells do? The AGA Journals Blog. (2014)
https://journalsblog.gastro.org/what-do-enteric-glial-cells-do/

 

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2021年10月18日 (月)

ショパンコンペティション2021 ファイナリスト決定

Finalists

1. Leonora Armellini, Italy
2. J J Jun Li Bui, Canada
3. Alexander Gadjiev , Italy/Slovenia
4. Martin Garcia Garcia, Spain
5. Eva Gevorgyan, Russia/Armenia
6. Aimi Kobayashi, Japan
7. Jakub Kuszlik, Poland
8. Hyuk Lee, South Korea
9. Bruce (Xiaoyu) Liu, Canada
10. Kamil Pacholec, Poland
11. Hao Rao, China
12. Kyohei Sorita, Japan

愛実さんや反田さんは私を「ゾーン」には導いてくれません。都響音楽監督の大野さんもそうですが、彼らはいつも覚醒していて、夢の中で別世界に飛翔するということはありません。私としては進藤さんやカティンさんにファイナリストになってほしかったのですが、彼らの解釈はポーランドでのショパン観に合わなかったのでしょう。皆さんの今後のご活躍を祈っています。

 

 

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2021年10月17日 (日)

Simple Japanese expressions

If you need to communicate to Japanese (but do not know the words), these may be useful.
Of course, following 5 words may be more pivotal:
Thank you = arigato,
Excuse me = shitsurei shimasu,
Hello = kon nichiwa,
Good-bye = sayonara,  and
Good to meet you = hajime mashite

Japanese, a, i, u, e, o, ought to be pronounciated always as a, i, u, e, o.
Not to be pronounciated as ei, ai, you, ∧, i:, ou etc.
Repeat twice is must.
These may not be authentic, but are surely understandable.

I am delightful.
= (I am) run run, uki uki

I am glad.
= niko niko

I feel sad.
= shiku shiku

I feel thrill or anxiety.
= hara hara

I have regrets.
= kuyo kuyo

I get angry.
= puri puri, pun pun

I can not understand.
= chimpun kampun

Not so good, not so bad.
= botsu botsu

I am exhausted
= bate bate

I am hungry.
= peko peko (onaka)

I am thirsty.
= kara kara (nodo)

I feel sore.
= itai itai

I get the shivers
= buru buru, zoku zoku

My heart flutters
= doki doki

I am scared
= biku biku

I am nervous
= piri piri

I feel dizzy
= kura kura

I am going to vomit
= gero gero (don't pronounciate as jero jero) shitai

I have no money.
= sukkara kan

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2021年10月16日 (土)

進藤実優 驚異の名演

セミファイナル 進藤実優 驚異の名演 🎵
14分17秒からが特に・・・・・

これはもう優勝するしかない

https://www.youtube.com/watch?v=S4zdJf-gHSE

インタビュー

https://www.youtube.com/watch?v=PbXh9t3aOMk

日本語

https://www.youtube.com/watch?v=BNFQRF4wsOo

 

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2021年10月14日 (木)

ショパンコンペティション2021 セミファイナル

ショパンコンペティション2021 セミファイナル

(日本時間)

 

🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 

 

10/14 ()

17:00  Szymon Nehring  シモン・ネーリング (ポーランド)
https://www.youtube.com/watch?v=qiOLn8BiZxY

18:00  Kamil Pacholec カミルパホレツ(ポーランド)
https://www.youtube.com/watch?v=fuI915DPJr4

19:20  Hao Rao ハオ・ラオ(中国)
https://www.youtube.com/watch?v=k5oDdDMznh8

20:20  Miyu Shindo 進藤実優(日本)
https://www.youtube.com/watch?v=Bq_tmfXqOos

 

10/15(金)

0:00  Kyohei Sorita  反田恭平(日本)
https://www.youtube.com/watch?v=7izf5tSd-Vo

1:00  Hayato Sumino  角野隼斗(日本)
https://www.youtube.com/watch?v=uuhElaEJbQA

2:20  Andrzej Wierciński  アンジェイ・ヴェルチンスキ(ポーランド)
https://www.youtube.com/watch?v=7i_iLlTMzNM

3:20  Piotr Alexewicz  ピオトル・アレクセヴィチ(ポーランド)
https://www.youtube.com/watch?v=wqAleUP-Tdc

17:00  Leonora Armellini  レオノーラ・アルメッリーニ(イタリア)
https://www.youtube.com/watch?v=jtLpSSDa1v4

18:00  J J Jun Li Bui  ジュン・リ・ブイ(カナダ)
https://www.youtube.com/watch?v=VG_DJxMuV34

19:20  Michelle Candotti  ミシェル・カンドッティ(イタリア)
https://www.youtube.com/watch?v=DOxprHUf_jw

20:20  Yasuko Furumi  古海行子(日本)
https://www.youtube.com/watch?v=A330QdGdPF4

 

10/16(土)

0:00  Alexander Gadjiev  アレクサンデル・ガジェヴ(イタリア)
https://www.youtube.com/watch?v=cCFUym41Ugs

1:00  Avery Gagliano  エイヴリーガリアーノ(アメリカ)
https://www.youtube.com/watch?v=B-y-XG2U_qw

2:20  Martin Garcia Garcia  マルティン・ガルシア・ガルシア(スペイン)
https://www.youtube.com/watch?v=gR9uh0Vx_oQ

3:20  Eva Gevorgyan  エヴァ・ゲヴォルギアン(ロシア)
https://www.youtube.com/watch?v=1Ma8OJZEC1k

17:00  Nikolay Khozyainov  ニコライ・ホジャイノフ(ロシア)
https://www.youtube.com/watch?v=QBF5OBYJaHY

18:00  Su Yeon Kim  キム・スー・ヨン(韓国)
https://www.youtube.com/watch?v=PEiJNyen45c

19:20  Aimi Kobayashi  小林愛美(日本)
https://www.youtube.com/watch?v=pJcPg1WEfXs

20:20  Mateusz Krzyżowski  マテウス・クシュゾフスキー(ポーランド)
https://www.youtube.com/watch?v=wQH66TrrK74

 

10/17(日)

0:00  Jakub Kuszlik  ヤクブ・コシュリク(ポーランド)
https://www.youtube.com/watch?v=UDeXILNP-3E

1:00  Hyuk Lee  イ・ヒョク(韓国)
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2:20  Bruce (Xiaoyu) Liu  ブルース・シャオユー・リュー(カナダ)
https://www.youtube.com/watch?v=0ev9NzuZBlg

 

🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 🌼 

 

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2021年10月13日 (水)

TPPの明日

環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)
批准国(濃緑)、署名国(薄緑)、加盟申請国(黄土色)
(ウィキペディアの図をペルーだけ改変)

報道ステーションで岸田総理の話を聞きました。箸にも棒にもかからない安倍や菅に比べれば、数段ましな人物とはみました。彼の言葉で興味を引いたのは官民共同で新規産業を推進するという方針です。日本はここ30年で敗戦につぐ敗戦を重ね、故立花隆氏は「今の日本は太平洋戦争と同じ敗戦への道を歩んでおり、もうミッドウェー海戦は終わって、山本五十六が死亡した頃だ」と10年前に言っていたそうです。それにイノベーションは願望だけでなしとげられるものではなく、科学技術のインフラがしっかりしていないと、湧き上がってこないのです。小泉政権以来、大学いじめはずっと続いていて、世界における日本の科学技術は論文数など様々な統計でずるずると後退してきました。

それで日本は世界から取り残され、株式はほとんど国と世界資本が支配するという末期的な状態になりました。岸田総理が言ったのは、経済を民間だけにまかせていてはボロ負けになるので、国家が全力で関与するということでしょう。これは「自由で開かれた」というTPPの精神に背を向ける姿勢であることは明らかです。私はそれを批判したいのではなく、むしろこの30年間自由主義でやってきたために日本はボロボロになってしまったので、今頃気がついたのかとあきれるだけです。なのにTPPで自由で開かれた貿易をめざすなどとまだ(表向きは)発言しているわけです。

私は水野和夫の信奉者で、日本は足らざるところを補うため「閉じた経済圏を確立した国家連合(水野さんは帝国と言っています)」をつくって生き延びるべきだと思います。自民党の甘利幹事長が造ったTPPは米国の離脱によって、ひょうたんから駒となり、まさしく「閉じた経済圏を確立した国家連合」らしきものが偶然形成されるという幸運に恵まれました。これでロシアが参加すれば完璧です。

ところがなんと英国、中国、台湾が参加を申請してくるという難題が降ってわいてきました。岸田総理はこの問題に適切に対処しなければなりません。私は中国・台湾の国内問題が持ち込まれるのは大いに迷惑だと思いますし、中国と米国とは管理貿易で付き合うべき巨大国家だと思います。「閉じた国家連合」に加入させるには両国とも巨大すぎます。農業・医療・ガス・水道・電気まで支配されてはたまりません。英国の加入もここを守れれば可能ということでしょう。

今年から左翼政権のペル-が8つめのTPP参加国となりました。これは日本にとってはとてもラッキーで、将来米国が参加を申請してきたときに、TPPから米国を排除する上で助けになるかもしれません。日本が排除したとなると角が立つので、ペルー主導でやってもらえると有難い。

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2021年10月11日 (月)

サラとミーナ256:そこでは眠らないで欲しい

ミーナとは3日で友人になれましたが、サラとは友人になるのに10年くらいかかりました。それまではむしろ同居人に近い存在でした。私に対しても多少の遠慮があったのですが、今やそれはなくなり私が座るはずの場所を占拠して眠っていることもしばしばです。

定期健康診断を受けました。私は血管が細いという身体的欠陥があり、今回も採血を失敗したあげく、手首からの採血となりました。採血のトラブルには慣れているので、時間がかかってもあまりストレスは感じなくなりました。

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2021年10月 8日 (金)

法人を使った情報工作

非常に重要な情報なのでコピペしておきます。

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記事元:https://johosokuhou.com/2021/10/07/52079/

安倍政権や菅政権の擁護を繰り返し、野党批判の情報を流し続けていたツイッターの大手政治アカウント「Dappi(@dappi2019)」に対する開示請求が行われた結果、法人だった疑惑が浮上しています。

(管理人:誹謗中傷とは たとえば、国会での安倍晋三元首相とのやりとりの一部分を取り上げ、「自分が話を聞いてなかったのに逆ギレする小西が哀れ」などどいったたぐいのものです)

立憲民主党の小西ひろゆき議員は Dappi(匿名アカウント)から名誉毀損で攻撃的なツイートを受けたとして開示請求を実施したと明かした上で、発信者は法人だったと言及。このツイートは7000回以上もリツイートされ、政治界隈で話題となっています。

今までも政治系のツイッターアカウントの運営に法人が関与しているのではないかと言われていましたが、小西議員の開示請求によってそれが証明された形です。Dappiは2019年6月からツイッターアカウントの運用を開始し、現在はフォロワー数が15万を超える政治系の大手アカウントとして知られています。過去には国会議員にしか提供されていないと言われている資料をアップしたこともあり、「与党関係者が運用しているのでは」などと噂されていました。

小西ひろゆき氏(立憲民主党所属参議院議員):
TwitterアカウントDappi(@dappi2019)の名誉毀損のツイートについて、東京地方裁判所の発信者情報開示を認める判決を受けて、プロバイダから発信者情報(法人名、所在地 等)が開示されました。本日、発信者に対し、損害賠償等を求める訴訟を東京地方裁判所に提起いたしました。

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管理人:最近はネット上の誹謗中傷に関して重罪が課せられるようになりました。小西さんの場合のように、法人がこれを行った場合どのように処罰されるのか関心があります。それにこれは単なる個人への誹謗中傷ではなく、おそらく政権政党の筋の団体が野党をおとしめるために組織的な謀略活動を行っていることが明らかになったわけです。

自民党はこれだけではなく、様々なSNSや情報関連企業に手を伸ばしてウェブの隅々を統制しようとしているふしがあります。

会社が製品をモンスタークレーマーにウェブ上でけちをつけられたときに、そのサイトを潰すために会社はさまざまな手をつかいます。クレームに反論することはもちろん、似たようなサイトをどんどん作って人を分散する、意味のない書き込みを大量に行って読者にサイトを離れさせる、気持ちの悪い書き込みで見たくないようにする・・・などのダーティな作業も行います。このような会社を作って、または使って野党寄りのサイトを潰す作業を行うことが可能です。私はこれは実際に行われていると確信しています。会社が例文を作ってアルバイトが書き込むので、これはその例だなとわかることもあります。

Dappiやその種の会社に渡っているお金はどこから支払われているのでしょう。ダーティな情報工作は表には出せないので裏金で仕事をさせているのでしょう。最も可能性が高いのは○○機密費です。

10月11日 追加情報 💢💢💢 ↓↓

野党をフェイク攻撃してきた有名ネトウヨ「Dappi」の正体は自民党が主要取引先のウェブ制作会社だった!
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2021年10月 7日 (木)

Chopin Piano Competition 2021

ショパンコンペティション2021がたけなわです。

(敬称略 失礼をお許しください)

日本人ピアニストも14人が本選に出場しています。ものすごくレベル高そうです。牛田智大は実に堂々たる演奏で巨匠感すらありますが、あまりに立派な演奏なので聴いていて押しつぶされそうな圧迫感もあります。玄人受けしそうな正統派ピアニストなので、日本人の中から優勝者が出るとすれば彼かな。

 

私が個人的に聴きたいピアニストは他に居て

角野隼斗(すみのはやと)
玄人受けしそうにありませんが、宇宙的な音の人。現代のホロヴィッツという人もいます。いくら強い音でも、この人の場合押しつけられるのではなく導かれる なぜだろう???
https://www.youtube.com/watch?v=7_T5cgWz5Us
2時間39分くらいから(1次予選2021↑)

Rapid access
https://www.youtube.com/watch?v=DtnljX1bjRs

 

竹田理琴乃(たけだりこの)
小さな部屋で情緒にどっぷり浸りたい感のある人。あと動物を友として生きている人にしかわからない、不思議な共感を感じます。コンペティションがどんな結果であっても自らの道を迷わず突き進んで欲しい。
https://www.youtube.com/watch?v=Ch5jVN3dvZ8
4時間1分くらいから(1次予選2021↑)

Rapid access
https://www.youtube.com/watch?v=aFqjPfnhtRY

 

進藤実優 (しんどうみゆ)
いろんな風に吹かれながら弾いているような鋭い感性の人。魔術師のような自在な表現が満載されているピアニズム。ショパンの演奏に関してはある意味正統派。
https://www.youtube.com/watch?v=Ch5jVN3dvZ8
トップバッター(1次予選2021↑)

 

牛田智宏のすごさはこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=lZCZI_UT50w

もちろんコンクールの公式サイトは立派ですが、エディクラッシックのサイトはアプローチしやすいです。
https://edyclassic.com/10912/

その他の本選出場者

古海行子 (Yasuko Furumi)
https://edyclassic.com/10912/#i-4
https://columbia.jp/artist-info/furumiyasuko/prof.html

原沙綾 (Saaya Hara)
https://edyclassic.com/10912/#i-5
https://twitter.com/saaya_hara?lang=ja

五十嵐薫子 (Kaoruko Igarashi)
https://edyclassic.com/10912/#i-6
https://enc.piano.or.jp/persons/5699

今井理子 (Riko Imai)
https://edyclassic.com/10912/#i-7
https://twitter.com/ricoimai

伊藤順一 (Junichi Ito)
https://edyclassic.com/10912/#i-8
https://magcul.net/250605

岩井亜咲 (Asaki Iwai)
https://edyclassic.com/10912/#i-9
https://twitter.com/asaki_pf

小林愛実 (Aimi Kobayashi)
https://edyclassic.com/10912/#i
https://twitter.com/aimi_piano

京増修史 (Shushi Kyomasu)
https://edyclassic.com/10912/#i-8
https://twitter.com/disneyshuchan

沢田蒼梧 (Sohgo Sawada)
https://edyclassic.com/10912/#i-11
https://mobile.twitter.com/sohgo_sawada/with_replies

反田恭平 (Kyohei Sorita)
https://edyclassic.com/10912/#i-12
https://www.kyoheisorita.com/

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2021年10月 5日 (火)

続・生物学茶話160:グリア細胞 その1 研究史・起源と進化

グリア細胞とは何かについて定義や分類からアプローチするには文献(1)がありますが、ここでまずチュヴェタルらが出版した文献(2)の記述をたどって研究のルーツの探索からはじめることにしました。

図160-1 グリア細胞の存在に19世紀またはそれ以前から気づいていた人々
(肖像はウィキペディアより)

チュヴェタルらによれば、グリア細胞について最初にきちんと認識したのは18世紀の神経生理学者 Albrecht von Haller (図160-1)だそうで、彼は神経組織には刺激や感覚とは関係のない間を埋める組織 (Zellgewebsfaser = cell tissue fibre)が存在し、Zellgewebe = cellular tissue を構成していると述べているようです。古い文献を調査してこのことを発掘したのはコンスタンツ大学の院生で、私はオリジナルの文献(学位論文)を見ていません。しかしチュヴェタルらはフォン・ハラーが最初の真正な神経生理学者だと高く評価しています。

次の重要人物はアンリ・デュトロシェ (Henri Dutorochet、図160-1) で、半透膜で隔てられた液体間の濃度の差によって浸透圧が発生することを示したことで有名ですが(3)、彼はまたカエルやカタツムリの脳のガングリオンを包むように存在する細胞のクラスターを報告しており(4、5)、彼がグリア細胞の発見者であると考える人々もいるようです。約100年経過してからシュタドニカ(Studniˇcka)が検証して、デュトロシェが報告したのはミクログリアであるとしています(6)。私はこれらの文献にはアクセスできていないので、チュヴェタルらの受け売りです。図160-1にはメダルのような肖像をウィキペディア(7)から拝借しましたが、彼は植物学者でもありその方面でも有名らしく、ガーデニングのサイトに肖像画がありますので、興味のある方はそちらをご覧ください(8)。

19世紀になって最初の重要人物はガブリエル・ヴァレンティン(図160-1)です。ヴァレンティンは神経組織は神経細胞体と神経線維に加えて、線維または糸状の中間体で構成されるというモデルを提唱しました(9)。文献9を少し探しましたがみつかりませんでした。彼が優れていた点はその線維または糸状の中間体が細胞間物質ではなく細胞そのものであると認識していた点です(1)。

ニューログリアという言葉を最初に使ったのは、ビスマルクと敵対する進歩党を創設した政治家としても有名な、病理学者のルドルフ・フィルヒョウとされています(10、11、図160-1)。彼はグリアが他の結合組織とは性質が異なることを認識していました。彼のアイデアの基盤にはロキタンスキーの一連の論文があるらしいですが、フィルヒョウは教科書を書いていたのでそれを読んだ学生の間で定着し、彼がニューログリアという概念の創始者とされたようです(1、12)。

カール・ベルクマンは小脳のプルキンエ細胞を包む大規模なニューログリアの集積を発見しました(13、図160-1)。この論文はドイツ語ですが言語が理解できる人はフリーで読めます。ベルクマンが発見したこのグリア細胞群はバーグマングリアという名前で現在も使われています。脳科学辞典のサイトに美しい写真もあります(14)。オットー・ダイテルスは20才台で夭逝してしまった科学者ですが(図160-1)、まだゴルジ染色もないような時代にアストロサイトの美しいスケッチを残しました(15、図160-2左図)。文献15の論文(死後友人達が完成した)は318ページもある長大な論文で、いかに彼が情熱的に脳科学に取り組んでいたかに驚かされます。スケッチは論文の末尾のあたりにまとめられています(15)。彼は腸チフスで亡くなったそうですが(16)、生きていればラモン・イ・カハール(図160-1)のような偉大な科学者になっていたことでしょう。誠に残念な夭逝でした。ラモン・イ・カハールは神経細胞だけでなく、バーグマングリアと関係が深い放射状グリア細胞のスケッチも残しています(17、図160-2中図)。ランヴィエ絞輪(18、19、図160-2右図 e)はグリア細胞のひとつの形態であり、ランヴィエ(図160-1)が発見した構造です。

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図160-2 グリア細胞 研究黎明期の図版
Otto Deiters の図版:Deiters, O. Untersuchungen uber Gehirn und Ruckenmark des Menschen und der Saugethiere; Vieweg: Braunschweig, Germany, 1865. よりアストログリア細胞の描画図
Ramo´n y Cajal の図版:Ramo´n y Cajal, S. Histologie du syste`me nerveux de l’homme et des verte´bre´s. Paris: Maloine; 1911:Vol. 2, p. 859. よりラジアルグリアの描画図
Rouis Ranvier の図版:ランヴィエによる神経鞘の顕微鏡写真 e がランヴィエ絞輪

ラモン・イ・カハールやルイ・ランヴィエが確固たる基礎を築いて以降、グリア細胞について膨大な知見が蓄積しましたが、それはとりあえず置いて、まずグリア細胞が進化の過程でどのように変化してきたかについて概観します。脳は神経細胞が集積してできている臓器なのですが、現在ではその認識はある意味で間違いであることがわかっています。というのはヒト脳のグリア細胞の数は神経細胞の数の50倍くらいになるからです。グリア細胞は神経細胞が正常に機能するようにさまざまなサポートをしているほか、自身もシグナル伝達の一部を担っているとされています(20)。

ではグリア細胞がないと神経細胞は何もできないのでしょうか? 有櫛動物(フウセンクラゲ・カブトクラゲ・ウリクラゲなど)や刺胞動物(ミズクラゲ・エチゼンクラゲ・ヒドラ・イソギンチャク・サンゴなど)はそれぞれ多くの神経細胞は持っていますが、グリア細胞は報告されていません。

図160-3 神経系の進化とグリア細胞
A. Bery et al (ref.21) の図を参考に作成しました

左右相称動物の中では最も原始的とされている無腸動物にはウィキペディアでは中枢神経系はないとされていますが、その分野の研究者によれば、確かに脳が存在しグリア細胞らしきものもみられるとしています(21)。ここでは彼らを信用して左右相称動物は集中神経系を持ち、グリア細胞も保有するとしておきます(図160-3)。無腸動物なんてめずらしい動物で見たことがないと私も思っていましたが、熱帯魚などを飼っている人にはお馴染みらしく、しばしば水槽に大発生して悩みの種だそうです(22、23)。

なぜ散在神経系の有櫛動物・刺胞動物はグリア細胞を持たず、左右相称動物が出現して集中神経系が形成されると、とたんにグリア細胞が出現したのかはよくわかりません。ただ散在神経系とは言っても、ランダムにどの場所にあってもいいわけじゃないですし、それぞれ活発に活動してもいるので、グリア細胞がないというのは形態学的に識別できないだけで、実は相当する機能をある程度果たしている細胞があると考える方が適切だとは思います。

扁形動物には確実に中枢神経系・脳が存在します(24-26)。扁形動物におけるグリア細胞は間充織系すなわち中胚葉系の細胞であるとされています(24、25)。私たちの脳にもミクログリアという中胚葉系の細胞がありますが、無脊椎動物のグリア細胞との関係はわかりません。Roberts-Galbraith らがプラナリアのグリア細胞の電顕写真をアップしていますがわかりにくい感じです(26)。ただプラナリアではグリア細胞がかなり発達しているような感じはうかがえます。Biserova が条虫(サナダムシ)の脳の電顕写真を提供してくれていて、その中にグリア細胞の写真もありました(25、図160-4)。これはとてもわかりやすいです。ミエリンのような構造も見えます。ただ専門家の立場から言えば、これはナイフマークのある写真で、「ちゃんとナイフを研いで使えよ」と言いたくはなりますが。

図160-4 扁形動物の脳にみられるグリア細胞

C.エレガンス(線形動物)では神経細胞がきっちり外胚葉性のグリア細胞で覆われている感じになります。グリア細胞は神経細胞の機能をサポートするだけでなく、神経細胞の発生にも必要であることがわかっています(27、28)。図160-5では喉の周囲にあるリング状の脳の裏表がグリア細胞によって覆われていることが示されています。このグリア細胞が神経細胞のラインと分かれて分化するためには、 lin-26 という遺伝子の発現が必須です(29)。C.エレガンスのグリア細胞は、特に表層の感覚器の発生や神経細胞とのつながりを形成するために必要なようです(30)。

図160-5のCEPsh グリア細胞のうち腹側の細胞はネトリンを分泌していて、軸索の誘導を制御していますし、その他にも神経細胞の機能を様々な形で制御しているようです(30)。

図160-5 線虫(Caenorhabditis elegans)の脳とグリア細胞
S. Shaham (ref.28) の図を参考に作成しました

あまり実験動物としてポピュラーではありませんが、脳神経科学の研究にはよくヒルが使われます。それはヒルが損傷した神経を修復する能力を持っているからです。これは更地から作り直すプラナリアなどとは異なる能力です(31)。医学の見地からも興味深い生物でしょう。

ヒル(環形動物)は体の前端と後端に脳を持っていて、これはヒルが前後の吸盤を使って動くことと関係しているのでしょう。私たちと同じく前後に1本の脊髄のような太い神経束が伸びていて、体節ごとにガングリオンがあり、そこから側方に神経が伸びています(図160-6)。C.エレガンスにはこのような構造はありません。神経束をカバーするマクログリア細胞、ガングリオンの神経細胞を包むパケットグリア細胞、ガングリオンの中央にあるニューロピルグリア細胞(ジャイアントグリア細胞)、神経叢全体にくっついて存在しているミクログリア細胞など、さまざまに分化したグリア細胞が認められます(31-33、図160-6)。

損傷した神経を修復する際には、ミクログリア細胞が中心となって修復活動を行うようで、これは脊椎動物でも大規模な損傷は修復できませんが、細胞レベルでの貪食による整理、病巣部に移動してさまざまな処理をするなどマクロファージ的な活動を行っていることから、両者のミクログリア細胞は類似していると言えるでしょう(34)。

図160-6 ヒルの神経系とグリア細胞
A:Nervous systems, The leech による
http://nervoussystemphyla.weebly.com/the-leech---hirudo-medicinalis.html
B:Le Marrec-Croq et al (ref.31) による
C:J. Deitmer et al (ref.32) による

昆虫の場合変態の際に神経系を大規模に作り直さなければいけないわけですが、これにもグリア細胞が貪食や誘導など大きな役割を果たしていることが知られています(35)。アウらはショウジョウバエのグリア細胞を中枢系は1.コーティカルグリア(コーテックスグリア):軸索が密集する神経叢以外の場所にある、2.サーフィスグリア:脳の外側を包んでいる、3.エンシーシンググリア:神経叢の一番外側の部分で神経叢を包むように存在する、4.アストロサイトグリア:神経叢の内部にも複雑に侵入している・・・の4種からなり、末梢系は軸索とシナプス前終末を包み込むペリフェラルグリアからなるとしています(36、図160-7)。さらに図160-7の挿入図のような細かい分類も行っています。

図160-7 ショウジョウバエのグリア細胞
J.Ou et al (ref.36) による

参照

1)Alexei Verkhratsky, Margaret S. Ho, Robert Zorec, Vladimir Parpura, The Concept of Neuroglia., Adv Exp Med Biol., vol.1175: pp.1–13. (2019) doi:10.1007/978-981-13-9913-8_1.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31583582/

2)Alexandr Chvátal and Alexei Verkhratsky, An Early History of Neuroglial Research: Personalities., Neuroglia, vol.1, pp.245–281 (2018); doi:10.3390/neuroglia1010016
https://www.researchgate.net/publication/327066936_An_Early_History_of_Neuroglial_Research_Personalities

3)ウィキペディア:アンリ・デュトロシェ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%88%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A7

4)Dutrochet, M.H. Recherches Anatomiques et Physiologiques sur la Structure Intime des Animaux et des Végétaux,et sur leur Motilité; J.B.Bailliere: Paris, France, 1824.

5)Dutrochet, M.H. Mémoires Pour Servir a L’historie Anatomique et Physiologique des Végétaux et des Animaux. II;J.-B. Bailliere: Paris, France, 1837; p. 688.

6)Studniˇcka, F.K. Aus der Vorgeschichte der Zellenteorie. H. Milne edwards, H. Dutrochet, F. Raspail, j.E.Purkinje. Anatomischer Anzeiger 1932, 73, 390–416.

7)Wikipedia: Henri Dutrochet
https://en.wikipedia.org/wiki/Henri_Dutrochet

8)The daily gardener: Henri Dutrochet
https://thedailygardener.org/otb20200204/

9)Valentin, G. Über den verlauf und die letzten enden der nerven. Nova Acta Academiae Caesareae Leopoldino-Carolinae Germanicae Naturae Curiosorum. Verhandlungen der Kaiserlich Leopoldinisch-Carolinischen Deutschen Akademie der Naturforscher 1836, 18, 51–240.

10)Virchow, R. Ueber das granulirte Ansehen derWandungen der Gehirnventrikel. In Gesammelte Abhandlungen zur WissenschaftlichenMedicin.; Virchow, R., Ed.;Meidinger Sohn & Comp.: Frankfurt, Germany, 1856; pp. 885–891.

11)ウィキペディア:ルドルフ・ルートヴィヒ・カール・フィルヒョウ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%92%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%92%E3%83%A7%E3%82%A6

12)Virchow, R. Die Cellularpathologie in Ihrer Begründung auf Physiologische und Pathologische Gewebelehre 20 Vorlesungen, Gehalten Während d. Monate Febr., März u. April 1858 im Patholog. Inst. Zu Berlin; AugustHirschwald: Berlin, Germany, 1858.
(英訳版:Virchow, R.L.K. Cellular pathology; John Churchill: London, UK, 1860)

13)Bergmann, C. Notiz über einige Structurverhältnisse des Cerebellum und Rückenmarks. Zeitschrift für Rationelle Medicin 1857, 8, 360–363.
https://www.networkglia.eu/sites/networkglia.eu/files/downloads/Bergmann-Notiz_ueber_einige_Structurverhaeltnisse_des_Cerebellum_und_Rueckenmarks.pdf

14)脳科学辞典:バーグマングリア
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%A2

15)Deiters, O. Untersuchungen über Gehirn und Rückenmark des Menschen und der Säugethiere; Vieweg: Braunschweig, Germany, 1865.
https://archive.org/details/untersuchungen00deit/page/318/mode/2up

16)Wikipedia: Otto Deiters
https://en.wikipedia.org/wiki/Otto_Deiters

17)Ramo'n y Cajal, S. Histologie du syste`me nerveux de l’homme et des verte´bre´s. Paris: Maloine; 1911:Vol. 2, p. 859.

18)Jean-Gaël Barbara, Louis Ranvier (1835-1922): the contribution of microscopy to
physiology, and the renewal of French general anatomy., J Hist Neurosci. vol.16(4): pp.413-431.(2007) doi: 10.1080/09647040600685503.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17966057/

19)Wikipedia: Node of Ranvier
https://en.wikipedia.org/wiki/Node_of_Ranvier

20)ウィキペディア: グリア細胞
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%A2%E7%B4%B0%E8%83%9E

21)Amandine Bery, Albert Cardona, Pedro Martinez, and Volker Hartenstein, Structure of the central nervous system of a juvenile acoel, Symsagittifera roscoffensis., Dev Genes Evol (2010) 220:61?76, DOI 10.1007/s00427-010-0328-2
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20549514/

22)ウィキペディア: 無腸動物
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E8%85%B8%E5%8B%95%E7%89%A9

23)卓也の海をのぞいてみよう! 初!無腸動物の大発生!(汗)
https://ameblo.jp/chikubitakuya/entry-10794860522.html

24)Sukhdeo SC, Sukhdeo MVK, Mesehnchyme cells in Fasciola hepatica (Platyhelmintes): Primive glia? Tissue Cell vol.26: pp.123–131 (1994)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8171419/

25)Natalia M. Biserova, "Platyhelminthes: Neodermata" in Structure and Evolution of Invertebrate Nervous Systems, edited by Andreas Schmidt-Rhaesa, Stefen Harzsch,
and Günter Purschke, Oxford University Press (2016).
https://www.researchgate.net/publication/314917303_Platyhelminthes_Neodermata

26)R. H. Roberts-Galbraith, J. L. Brubacher, P. A. Newmark, A functional genomics screen in planarians reveals regulators of whole-brain regeneration. eLife 5:e17002 (2016)
https://elifesciences.org/articles/17002

27)Grigorios Oikinomou and Shai Shaham, The Glia of Caenorhabditis elegans. GLIA vol.59: pp.1253–1263 (2011)

28)Shai Shaham, Glial Development and Function in the Nervous System of Caenorhabditis elegans., Cold Spring Harb Perspect Biol 2015; 7(4): a020578, doi:10.1101/cshperspect.a020578.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25573712/

29)Labouesse M, Sookhareea S, Horvitz HR, The Caenorhabditis elegans gene lin-26 is required to specify the fates of hypodermal cells and encodes a presumptive zinc-finger transcription factor. Development vol.120: pp.2359–2368 (1994)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7956818/

30)Alexei Verkhratsky, SpainMargaret S. Ho, Vladimir Parpura, Evolution of Neuroglia., Adv Exp Med Biol., vol.1175: pp.15–44. (2019) doi:10.1007/978-981-13-9913-8_2.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31583583/

31)Françoise Le Marrec-Croq, Francesco Drago, Jacopo Vizioli, Pierre-Eric Sautière, and Christophe Lefebvre, The Leech Nervous System: A Valuable Model to Study the Microglia Involvement in Regenerative Processes., Clinical and Developmental Immunology Volume 2013, Article ID 274019, 12 pages
http://dx.doi.org/10.1155/2013/274019

32)J. Deitmer, C.R. Rose, T. Munsch, J. Schmidt, W. Nett, H-P. Schneider, and C. Lohr, Leech Giant Glial Cell: Functional Role GLIA vol. 28:pp.175–182 (1999)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10559776/

33)A.Nervous systems, The leech
http://nervoussystemphyla.weebly.com/the-leech---hirudo-medicinalis.html
https://journals.biologists.com/jeb/article/218/21/3353/14399/A-classic-model-animal-in-the-21st-century-recent

34)脳科学辞典:ミクログリア
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%A2

35)粟崎健 グリア細胞により指揮・実行される脳神経ネットワークのリモデリング
生化学 第84巻 第7号 pp.573-577 (2012)

36)Jiayao Ou, Yijing He, Xi Xiao, Tian-Ming Yu, Changyan Chen, Zongbao Gao, Margaret S. Ho, Glial cells in neuronal development: recent advances and insights from Drosophila melanogaster., Neurosci Bulletin, vol.30(4): pp.584–594. (2014)
DOI: 10.1007/s12264-014-1448-2
https://www.researchgate.net/publication/263863184_Glial_cells_in_neuronal_development_Recent_advances_and_insights_from_Drosophila_melanogaster

 

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2021年10月 3日 (日)

サラとミーナ255:晩年をのんびりとすごすミーナ

 

所定のベッドで昼寝するミーナ。サラはせっかくベッドを置いてもそこには来ません。自分が「発見」した寝心地のよい場所で寝ます。ミーナは体重はすっかり減りましたが、介護食などを食べていて、特に元気がないということはありません。

ソファーにはなんとか自力で上がれるので、私の足にアゴを置いて休むのも好きです。

次回の都響は「ツァラトゥストラはかく語りき」ということで、予習としてニーチェの件の本を読んでいるのですが、ひとつわかったことはニーチェ=ツァラトゥストラは猫が嫌いだということです。狡猾なコソ泥というくらいの理解しかないのです。ちなみにツァラトゥストラのペットは鷲と蛇です。

 

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2021年10月 1日 (金)

堀米ゆず子の変幻自在

2017年11月に池袋芸劇で開催された、小泉指揮都響演奏会でソリストを務めた堀米ゆず子さんのブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番が、繊細かつ自由闊達な演奏で大変素晴らしかったので、もう一度聴きたくて画像の右側のエクストンのCDを購入しました。これはラザレフ指揮日フィルとの共演です。
http://morph.way-nifty.com/grey/2017/11/with-b04b.html

ところが都響との演奏とは違ってガッチガチの堅苦しい演奏で、がっかりして一度きいたきりだったんですが、最近彼女がシモノフ指揮ロイヤルフィルと演奏したメンブランのCDがあることを知って、おそるおそる購入して聴いてみました(左側)。するとこれは with 都響とも、with 日フィルとも異なる、実にやわらかくゆったりとした叙情的な表現で、気に入っていた都響との演奏会とはまた違った意味で感動しました。

同じ演奏家とは思えないくらい違う表現だったので、演奏時間を見てみると、

日フィル版:
第1楽章 7分51秒
第2楽章 8分31秒
第3楽章 7分59秒

ロイヤルフィル版:
第1楽章 8分41秒
第2楽章 9分45秒
第3楽章 7分17秒

となっていて、やっぱりロイヤルフィル版では第1楽章と第2楽章をずいぶんゆったりと演奏していることがわかりました。私的にはロイヤルフィル版がお気に入りです。

シモノフさんはとっても愉快な指揮者で YouTube に「Y・シモノフ変態指揮集」が出ているくらいなのですが、私は好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=z5VfJ0I9YTk

堀米さんの演奏
https://www.youtube.com/watch?v=7kkzIQnMIwY

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2021年9月28日 (火)

ローレンス・レネ-都響 プロコフィエフ交響曲第5番@東京文化会館 2021/9/27

3ヶ月ぶりに都響通いを再開しました。夕方は錦糸町にいましたが、ファーストフードのお店はノートパソコンをいじっている人でいっぱいで、会社はリモートワークで行けなくてお店で仕事をしているようです。おそらく会社より密です。よかれと思ってやったことでも、実態を見ながら変えていく必要があることを実感させられました。

指揮者はローレンス・レネさんで、とてもかっこいいアスリート系です。ソリストは6才からロシアでピアノの腕を鍛え上げた松田華音さん。コンマスはボス矢部、サイドはなぜかダブダブ服の四方さんです。久しぶりの東京文化会館はなつかしい感じさえします。レネさんはこのコンサートのためだけに来日し、ホテルの軟禁を経て登場だそうで有難いことです。今日はプロコフィエフ・ナイトです。

あれ、マキロンがいつになくぺったん靴で登場? さては腰をやったなと思いました。私も経験がありますが、体重には十分気をつけてね。弾きにくそうでした。サポーター(コルセット)をつけていると楽ですよ。それに症状によってはそれで治ってしまうこともあります。私はサポーターで矯正することによって、半年くらいで治りました。

松田さんのピアノも都響も、この難しい曲を何事もないかのように演奏しきっていたように思います。テンション上がりました。レネさんは汗だくで頑張っていました。松田さんはあれだけすごい運動量なのに、さわやかな感じで対照的ではありました。

満席にはほど遠い入りでしたが、定期会員なので義務的に来ているのではなく、この曲・この演奏家が聴きたくて来ている客ばかりなので、雰囲気はいいです。プロコフィエフの音楽は、自分にはかっこよすぎてついていけない感じなのですが、今日の2曲はさすがに名曲でエキサイトしました。これでコロナが終結してくれると嬉しいのですが。

松田さんはラフマニノフの楽興の時をアンコールで演奏してくれました、レネさんも満場のスタンディングオベーションで嬉しそうでした。

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2021年9月24日 (金)

意味のないことをやろうとする政府

ワクチンを2回打っても感染を防ぐことはできないし、スプレッダーにもなり得るので、ワクチンパスポートには意味がないでしょう。何を保証するのでしょうか? どうして専門家も含めて、パスポートを持っている人と持っていない人の場所を分けるという不可解な実験を大真面目にやろうとしているのか訳がわかりません。ワクチンは重症化を阻止するためにのみ意味があるものです。小池都知事が実証実験に消極的なのは当然でしょう。

だいたい政権のワクチン担当相である河野大臣が消極的なのに、だれがこんな意味のないことを推進しようとしているのかわけがわかりません。

感染者がこの調子で減っていけば、保健所に余裕ができてクラスター・濃厚接触者の追跡もきちんとできるでしょうから、まもなく飲食関係も制限なく営業できるようになるのではないでしょうか。病院にはもう余裕ができているようなので、万一感染してもこれからは入院/治療の状況も大幅に改善されるでしょう。

ワクチンパスポートの問題点

「ワクチンパスポート」導入反対意見はなぜ多い? 政府のデジタル音痴ぶりにも尽きない不安(水野詩子)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ae90fa9616821d274e4a83534a0d0c3800e24c81

悪循環の免罪符となりかねない「ワクチン・パスポート」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66975

ワクチンパスポート反対』 フォロワー62万人超え、尾身茂会長インスタにコメント相次ぐ 「差別や偏見に晒される」
https://www.chunichi.co.jp/article/327032

ワクチン証明書活用に否定的 河野担当相「意味ない」―新型コロナ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021022200008&g=soc

ワクチンを2回接種していても死ぬときは死ぬ「東京都は9月24日新たに40代~100歳以上の15人が死亡したと発表した。このうち5人がワクチンを2回接種済みだったという。」
https://www.asahi.com/articles/ASP9S5K4HP9SUTIL031.html

 

 

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2021年9月23日 (木)

ブースターショット

バーニー・サンダース(ウィキペディアより)

米国民主党の重鎮バーニー・サンダースがついに行動を開始しました。彼のツイッターに次のような文章がアップされました。

The business model of the pharmaceutical industry is fraud. Their greed is literally killing Americans. They have spent billions buying politicians & several of their executives became billionaires during the pandemic. Their days of calling the shots in DC must come to an end.

製薬会社のビジネスモデルはペテンだ。彼らの強欲は文字通りの意味で米国人を殺害している。彼らは政治家とその一味に莫大な賄賂を渡し、このパンデミックの間に彼らは大金持ちになった。彼らがワシントンDCでワクチン接種を呼びかける日々は終了を迎えなければならない(拙訳)。

米国食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は16:2の圧倒的大差で、ファイザーワクチンのブースター接種を否決しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/70a801bb2a042f38da530139cfa7061a09c0de6f

それでもブースターショットを日本で強行しようとしている人々がいます。彼らは今あせっていることでしょう。この中にはサンダースが指摘したような連中がいるはずです(FDAの評決が出たとたんに、準備をしておかなければならないなどとトーンダウンした人もいます)。

 

 

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2021年9月20日 (月)

続・生物学茶話159:電気魚

電気魚(electric fish)はもちろん電気を感じることができる魚類すべてではなく、発電能力がある魚類のことだけをいいます。電気を感じるといえば、私たちも感電はするので感じることができないわけではありませんが、私たちは電気のための受容器は持っていませんし、もちろん発電器官も持っていません。魚類には発電はできなくても、特別な感覚器官を持っていて微弱な電気を感じることができる種は多いようです。しかし発電能力がある種は350種くらいで、魚類全体の3万種から考えると電気魚はごくマイナーなグループと言えます(1)。

電気魚のなかには強電気魚と弱電気魚がいますが、これはある意味人為的な分類で、発電したときにさわるとビリッとした痛みを伴う刺激があって感電したことがわかる種を強電気魚、わからない種を弱電気魚としています。しかしこの分類には人為的以上の意味があって、強電気魚はエサを痺れさせることによって「少ない労力で肉食する」、とか「敵に襲われたときに感電させて逃げる」などの目的で電気を製造していますが、弱電気魚は「環境の状態を検知する」、「エサを探す」、「仲間と交信」するなどの目的で電気を利用しているとされています。

強電気魚であるナイル川のデンキナマズの存在は古代エジプトでも知られていて、紀元前3100年にエジプトを統一したナルメル王の石版画にも描かれています(2、3、図159-1)。

図159-1 デンキナマズと古代エジプトの石版画

デンキナマズの写真は Stan Shebs によるウィキペディアへの投稿

本稿を書くに当たってまず参照させていただいたのが菅原美子氏の総説で、この3本の総説(4-6)はそれぞれ、発電器・電気受容器・情報処理についてまとめてあり、フリーで公開されていたので大変参考になりました。図159-2は発電魚の一覧で、最初の総説(4)から一部引用させていただきました。軟骨魚類(板鰓類)にも硬骨魚類(条鰓類)にもそれぞれ少数ながら発電する魚類がいて、それぞれ独自に発電器官を進化の過程で獲得したものと思われます。

発電によって採餌するというのは、捕食者としての能力に不足があったからかもしれません。たとえばエイは発電しますが、強力な捕食者であるサメは発電しません。ただサメもロレンチーニ器官という電気受容器を持っていて、エサを探すのには電気を利用しているようです。弱電気魚は自分で周辺に電流をつくることができるので、サメのように非常に微弱な電流を検知しなくても、周辺の状況がわかります。哺乳類でもカモノハシはクチバシに電気受容器を持っていて、暗闇でもエサを探知できるようです(7、8)

発電器官の起源はジムノティ目のアプテロノテイド科(Apteronotidae)を除いては筋肉組織にあるようで、神経筋接合シナプス(シナプス後電位)が発電の起点になっています。アプテロノイドでは神経組織が起源となっているようです(4、9)。後者の場合発電の起点はアクションポテンシャルとなります。

菅原氏は在職中に急死されたとのことで、まことに惜しまれます(10)。

図159-2 電気魚の種類

強電気魚はよく水族館などでもみかけます。なかでもデンキウナギは800Vの電圧を発生させることができるようです。ミシマオコゼは英語ではスターゲイザーですが、これは目が上についていて、見上げてばかりいるからでしょう。ミシマオコゼは発電器官を持ちますが、電気受容器は持っていません。この魚はミシマだけでなく、日本全国各地に分布しています。

図159-3 強電気魚 

写真はすべてウィキペディアより 撮影者はシビレエイ:Robert Pillom, スターゲイザー:Canvasman21, デンキナマズ:既出、デンキウナギ:Steven G. Johnson

内蔵というとなかなか美しいと感じるものではありませんが、強電魚の発電器官は半透明で美しい臓器です(11)。シビレエイの発電器官は体の左右にあり、1000個以上の発電細胞が積み重なって発電柱を形成し、その発電柱が片側500~1000個集積して臓器をつくっています(12、図159-3)。シビレエイの場合腹側がマイナス、背側がプラスとなります。発電は運動神経によって支配されており、餌や敵を麻痺させるために使用します。理化学研究所はシビレエイを用いた海底地形探査や発電利用を研究しています(13)。

図159-4 シビレエイの発電器官

弱電気魚は通常数百ミリボルト~数ボルトの発電しかできません。このカテゴリーの生物は図159-1のなかで、ガンギエイ科(Rajidae)、ジムノティ目(Gymnotiformes)、モルミリ目(Mormyriformes)に限られます(4)。ガンギエイ科のエイはカスベと呼ばれるものが多く、図159-5のメガネカスベは代表的ななもので日本でもみられます。ジムノティ目は南米に棲息する淡水魚で、熱帯魚屋で売っているナイフフィッシュは代表的なグループです(14、図159-5)。モルミリ目はアフリカに棲息する淡水魚で、アバ(アバアバ)やエレファントフィッシュ(エレファントノーズフィッシュともいいますが、鼻じゃなくてアゴが長い)が代表的なグループです(14、図159-5)。これらも熱帯魚屋で販売されています。

アバはリスマンがはじめて弱電魚の発電を記録した種です(15)。この魚は真後ろにも泳げるという特技があり、リスマンはこの最初の論文で「発電することによって目視しなくても後方の障害物を回避することができる」ことを指摘しています。

図159-5 弱電気魚

写真はすべてウィキペディアより 撮影者はメガネカスベ:OpenCage.info、ブラックゴーストナイフフィッシュ:Derek Ramsey、アバ:Wiki-Harfus; modified by Wildfeuer、エレファントフィッシュ:spinola

エサを感電させるためには発電するだけで良いのですが、敵やエサを探知したり、周辺の地形を確認したりするためには電気受容器が必要です。なかにはサメのように発電はしないけれども、他の生物が発する微弱な電流をロレンチーニ器官という電気受容器で100万分の1ボルトの精度で検知し、エサの探索に利用しているような生物がいます(16)。すべての電気魚およびサメのような非電気魚がもっている標準的な電気受容器は図159-6の左図の様な形態で、アンプラ型電気受容器とよばれています(5、17)。

一方弱電気魚のジムノティ目とモルミリ目の生物は右図の結節型電気受容器を持っています。これは外界と直結していないので、明らかに感度は悪いと思われる構造ですが、外界からの情報をそのまま受容細胞が受け取るのではなく、何らかの加工を経由して受け取るには良いのかもしれません。私にはよくわかりません。ひとつ言えることは、この受容器は体内にあるので保護下にあり、かつ変化の少ない安定した条件のもとで情報を受け取ることができます(5、17)。

図159-6 二つのタイプの電気受容器

弱電気魚は特定の発電器官から電気を流し、それを体の各所にある受容器で検知することによって、たとえば途中にあるものが電導性の藻であるか(図159-7、左図)、非電導性の石(図159-7、右図)であるかを電流の乱れを感知することによって判定することができます。その情報を中枢神経に集めて、次にとるべき行動を決めることができます(18)。この特技は暗闇で行動したり、後方に泳ぐときには非常に役に立ちます。

図159-7 弱電気魚は周辺にあるものを検知できる

一部の弱電気魚は驚くべき高度な機能を持っています。グリーンナイフフィッシュは通常400ヘルツの電流で探索活動を行っていますが、近所に同じことをやっている仲間が現れると、周波数を420ヘルツや380ヘルツに変えて探索します(19、20)。もう60年近く前の仕事なので、著者の消息はわかりませんが、これこそテレパシーが実在することを世界ではじめて証明した仕事ではないでしょうか?

図159-8 グリーンナイフフィッシュの混信回避

Carl D. Hopkins によってウィキペディアに投稿された図

 

参照

1)Mark E. Nelson, Electric fish, Curr Biol vo.21, no.14, R528, (2011)
https://www.cell.com/current-biology/pdf/S0960-9822(11)00349-6.pdf

2)Rosalind Park, Ancient egyptian headaches: Ichthyo- or electrotherapy
https://www.academia.edu/331345/Ancient_Egyptian_Headaches_ichthyo_or_electrotherapy

3)ウィキペディア:デンキナマズ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%8A%E3%83%9E%E3%82%BA

4)菅原美子 電気感覚系の比較生物学 I 電気器官と発電機構の多様性
比較生理生化学 vol.13, no.1, pp.34-47 (1996)

5)菅原美子 電気感覚系の比較生物学 II 電気受容器と電気受容機構
比較生理生化学 vol.13, no.3, pp.219-234 (1996)

6)菅原美子 電気感覚系の比較生物学 III 電気感覚の脳内機構と行動
比較生理生化学 vol.14, no.3, pp.194-209 (1997)

7)ウィキペディア:カモノハシ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%83%8F%E3%82%B7

8)ナショナルジオグラフィック 電気を使う動物のショッキングな事実
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9408/

9)Bennett, M. V. L.: In Fish Physiology. Vol .V, Hoar, W. S.& Randall, D. J. (eds), Academic Press, pp.347-491 (1971)

10)水村和枝 菅原美子先生を偲ぶ 日本生理学雑誌 vol.68, no.2, pp.84-85 (2006)

11)フィッシュズカン シビレエイは痺れる旨さ?
https://gyorui1a.com/2017/02/21/post-1854/

12)ウィキペディア:シビレエイ目
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%93%E3%83%AC%E3%82%A8%E3%82%A4%E7%9B%AE

13)理化学研究所 プレスリリース (2020)
https://www.riken.jp/press/2020/20201208_1/index.html

14)電気魚の種属
https://square.umin.ac.jp/wpj/ysuga/ef-world-2.html#400

15)H. W. Lissmann, Continuous Electrical Signals from the Tail of a Fish, Gymnarchus niloticus Cuv., Nature vol.167, pp.201–202 (1951)
https://www.nature.com/articles/167201a0

16)ウィキペディア:ロレンチーニ器官
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%8B%E5%99%A8%E5%AE%98

17)BrainKart.com: Electroreception
https://www.brainkart.com/article/Electroreception---Fishes_22059/

18)Wikipedia: Electroreception
https://en.wikipedia.org/wiki/Electroreception#Electrolocation

19)Wikipedia: Jamming avoidance response
https://en.wikipedia.org/wiki/Jamming_avoidance_response

20)Watanabe, A., Takeda, K.: The change of discharge frequency by A. C. stimulus in a weak electric fish. J.Exp.Biol. vol.40, pp.57–66 (1963)
https://journals.biologists.com/jeb/article/40/1/57/20904/The-Change-of-Discharge-Frequency-by-A-C-Stimulus



 

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